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ビッケ

第1章 ビッケ…

 ⑥

 そしてわたしと和哉くんはそのままワインバーを出て…
 このバーのある繁華街の外れのホテルに入る。

 ラブホテルではなく、ビジネスホテルでもなく、いわゆる其れ等の中間的な10階建てのシティホテルであった…
 そのフロントでチェックインを済ませ、二人でエレベーターに乗る。

「あ…」
 エレベーターに乗るなり、わたしは和哉くんの手を引き、キスをしていく。

 ここで先手を打っていくことが、エス的衝動のわたしにとっては大切なのだ。

 このわたしからのキスの仕掛けにより、心が完全に主導権を摑めるのである…
 ましてや和哉くんは若いし、そして経験的にもそこまでの感じはしない。

 だからこそ、常に先手を、主導権を握っておく必要があるのだ…
 できれば支配したいから。

 そしてエレベーター内で舌を貪る様にキスをしていく…

 あ、あぁ…
 わたし自身、久しぶりのキスの感触に、激しく心が昂ぶり疼いてきた。

 ピチャ、ピチャ、ピチャ…

 久しぶりのキスに、すっかり感じてしまう…

 チン…
 そしてエレベーターが止まりドアが開き、唇を離す。

 わたしはすっかりその久しぶりのキスに感じてしまい、もう少しドアが開くのが遅かったたら力が抜けてしまうところであった。

 なんとか唇を離し、わたし達は部屋に入る…

「さぁ、和哉くん、そこに…」
 わたしは先に部屋に入り、一応ビジネスホテル然としたツインルームの一つのベッドに座り…
 そう囁いた。

「あ、違うわよ、和哉くんはそこ…」
 彼をそのわたしの座っている膝元に指を差す。

「え…」

「ほら、早く、そこに…」
 そして和哉くんはわたしの膝元に軽い正座のカタチで座った。

 本当ならば…

 いや、本来のわたしならばそのままストッキング脚を差し伸ばし、爪先を舐めさせるのだが…
 なんとなく和哉くんからはストッキングフェチ特有な視線は感じられず、爪先を舐めさせるのはためらったのである。

 だから…

「さぁ、こっちへ…」
 わたしは両脚を少しだけ開き、両手を開いて招くカタチをし…

 和哉くんの顔を…

「あっ…」
 両太腿で挟み込む。

 そしてゆっくりと彼のアタマを押さえながら、スカートの中へと導いていく…
 これで彼、和哉くんのフェチ度が少しだけわかるのだ。

「あぁぁ…」



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