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らゔぃあん☆ぴーち!

第4章 あ

「紫苑は桃のこと、どう思ってるのかな」
「どうって」
「まあ単刀直入に言うと、恋愛感情を持ってるのかってこと」
「……」

紫苑はその美しい瞳を細めて

「朱音は持ってるのか?」

初めて出会った日と同じ
人の目の奥を見るような眼差し。
私もカチリと視線を合わせた。

「うん。持ってる」

最初から本当のことを言うつもりだった。

「桃が好きで、付き合いたいって、思ってる」
「ふうん。で、どうしてこっちの気持ちを聞く?」
「どうしてって……知りたいから」
「知ってどうする」
「紫苑も私と同じ想いを持ってるなら、ライバル宣言をして正々堂々と戦いたいと思ってる」

そう言ったら紫苑はフッと笑って

「朱音の口ぶりは、女どうしの恋愛っていうハードルを感じさせないな。清々しい」
「女どうしだってエッチできるじゃん。ありでしょ」
「……そういうふしだらなことを言うな」

紫苑は眉をしかめた。
下ネタは嫌いらしい。

「そのふしだらな言葉はともかくとして、朱音の正直さに敬意を表して自分も正直に言おう。桃に恋愛感情を持ってるよ。桃が好きだ」


やっぱり。

「桃は両親を亡くして、これ以上傷つけないというほど傷ついたんだ。でもそこから必死に這い上がって、笑顔を忘れず懸命に生きている。桃のような美しい心を持った子を自分は他に知らない。あの澄んだ瞳や笑顔を守りたいと思ってる。自分が一番側で」

静かに燃える瞳と情熱を秘めた声。
両親を亡くした直後の桃を知っている紫苑
桃の苦悩も再生も一番近くで見てきたのであろう紫苑の言葉には重みがあった。

「そんなに好きなら、告白とかも、してるの?」
「するか。桃はまだ喪中だし、好きだとか付き合って欲しいとかそんな想いをぶつける時じゃない。桃が寂しかったり辛かったりする時に、いつでも受け止めてやりたいって思ってるだけ。笑顔になれる時を増やしてやりたいって思ってるだけ」
「……」
「そしていつか願わくば、自分を唯一無二の恋人として選んで欲しいって、思ってるだけ」

こいつ
すごい。
本気だ。

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