
らゔぃあん☆ぴーち!
第4章 あ
小学二年生の時に家を出て行った母親
寂しい
悲しい
そう思うのが嫌で
強くなりたくて
剣道に打ち込んだ。
夢中になるものが必要だった。
たまたま近所で習えたのが剣道だったからで
強さを感じられるものなら何でも良かったんだと思う。
いつもは胸の奥深くに沈んでいて意識することもない感情
桃の言葉が浮かび上がらせたそれは
微かに胸をひりつかせる。
「……ねえ朱音、手を痛くしたんじゃない?」
「え?ああ、豆がちょっと潰れただけ。よくあることだし平気」
「本当に大丈夫?ちょっと見せてみて」
「ちょい血が出てるけど、見るの平気?」
平気だという桃に右の手のひらをテーブルの上で開いて見せる。
痛そう、と眉を寄せる桃。
そして私の手のひらの上に
桃は自分の手のひらをそっと重ねた。
「も、桃?」
「痛いの痛いのー、飛んでけー!!」
桃は元気いっぱいにそう言うと
自分の手を高々と振り上げた。
「よし、飛んでった」
桃は晴れ晴れとした顔で頷いて
「飛んでいった痛みはお星さまになるのよ。知ってた?」
知らない。
お星さま
何それ
知らん
やばい
なんか泣きそう。
「そっか、知らなかったなー……」
そう言うのが精一杯で
私は俯き紅茶の水面を見つめた。
桃
桃の胸の痛みも
お星さまになったのなら
どれほどたくさんのお星さまになったろう。
キラキラ
キラキラ……
寂しい
悲しい
そう思うのが嫌で
強くなりたくて
剣道に打ち込んだ。
夢中になるものが必要だった。
たまたま近所で習えたのが剣道だったからで
強さを感じられるものなら何でも良かったんだと思う。
いつもは胸の奥深くに沈んでいて意識することもない感情
桃の言葉が浮かび上がらせたそれは
微かに胸をひりつかせる。
「……ねえ朱音、手を痛くしたんじゃない?」
「え?ああ、豆がちょっと潰れただけ。よくあることだし平気」
「本当に大丈夫?ちょっと見せてみて」
「ちょい血が出てるけど、見るの平気?」
平気だという桃に右の手のひらをテーブルの上で開いて見せる。
痛そう、と眉を寄せる桃。
そして私の手のひらの上に
桃は自分の手のひらをそっと重ねた。
「も、桃?」
「痛いの痛いのー、飛んでけー!!」
桃は元気いっぱいにそう言うと
自分の手を高々と振り上げた。
「よし、飛んでった」
桃は晴れ晴れとした顔で頷いて
「飛んでいった痛みはお星さまになるのよ。知ってた?」
知らない。
お星さま
何それ
知らん
やばい
なんか泣きそう。
「そっか、知らなかったなー……」
そう言うのが精一杯で
私は俯き紅茶の水面を見つめた。
桃
桃の胸の痛みも
お星さまになったのなら
どれほどたくさんのお星さまになったろう。
キラキラ
キラキラ……
