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らゔぃあん☆ぴーち!

第6章 ☆

「あ、桃、えっと紫苑の具合が悪いみたいで」

あなたを賭けて酒で勝負していましたとは言えない。

「ええっ。やだ、本当だ顔が真っ赤。大丈夫紫苑!?」
「……大丈夫……」

紫苑が蚊の鳴くような声で返事をした。

「あ、喋った」

こんな状態でも桃の声には反応するんだな
無意識の意識ってやつか。
とりあえず部屋の中に運び入れてベッドの上に転がす。

「これ本当に風邪?違う病気なんじゃない?病院に連れて行ったほうがいいんじゃない?それとも救急車呼んだほうが」

あまりにも真剣に心配する桃
お母さんを起こしてくる、とまで言い出したから
仕方がなくネタばらしする。

「ごめん、実は二人でお酒を飲んだんだ。そしたら紫苑が潰れちゃって」
「えー!?」
「酔っぱらってるだけだから、寝れば大丈夫だと思うんだ」
「もー……」

桃は心底ほっとしたような泣き笑いの表情で

「びっくりしたあ。紫苑がこんな風になったの見たことなかったから、びっくりしたあ」
「あはは。鉄人だもんね」
「でも本当に大丈夫かな、寝たら治るのかな。ねえ朱音、紫苑の体をちゃんとお布団の中に入れてあげたいから、ちょっとこっちのほうを持って?」

桃は紫苑をきちんと布団の中に入れてやり
髪の乱れを直し
額にそっと手を置く。

「熱はないみたい。呼吸もちゃんとしているし、寝たら治りそうね」
「酔って寝ちゃっただけだからね」

そんなに心配しなくたっていいのに。
ちくりと胸が痛む。

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