
らゔぃあん☆ぴーち!
第2章 ゔ
目の前で繰り広げられる二人の世界にぽかーんだ。
横目でダメ親父を窺うと同じくぽーかんで口まで開いている。
「桃さあ、やっぱちょいちょい敬語でるよね」
「あ、ごめんなさい、つい」
「早く直してよ。桃にオイコラって言われたい」
うふふクスクス
桃と紫苑は楽しそうに笑いあう。
そうなのだ
姉に対して敬語
それが付き合ってる感を強く感じさせるのだ。
「もー、紫苑も桃も、ここはお家じゃないのよ。じゃれあわないの」
のほほんと二人をたしなめる佐藤さん。
ダメ親父がおずおずと
「二人は随分仲が良さそうだけど、桃ちゃんは紫苑ちゃんに敬語使ったりするんだ?ちょっと変わってるね?」
その問い掛けに佐藤さん家族が一瞬黙り
三人顔を見合わせて
そして
「このことも、今日お話しようと思っていたことなんだけど……実は桃は、私の妹の子供なの」
えっ
「ずっとアメリカで暮らしていた妹夫婦が去年交通事故で突然亡くなって……それで一人娘の桃を私が引き取ったの。なので紫苑と桃は本当の姉妹ではなくて、従妹どうしなのよ」
えええっ
佐藤さんが隣の桃の肩をそっと抱く。
俯き加減の桃
それでも気丈な笑顔で頷く。
「桃は遠慮がちな子だから、一緒に暮らし始めてからも私達に敬語を使っていて。普通に喋っていいんだよって言い続けて、やっとこんな感じかな……ね、桃」
そうか
そうだったんだ
そうだったんだね桃……
佐藤さんの話はぽつぽつと続いた。
けれど私の頭には全然入って来なくて。
桃
シングルマザーの家庭とはいえ
可愛がられて大事にされて
伸び伸び育ってきたんだろうなって勝手に思ってた。
それに比べて私の境遇は最悪だったからこんなにひねくれちゃったよ、なんて
変な不幸自慢を感じてた自分が恥ずかしい。
じわじわ目線が沈み込む。
両親が交通事故でいっぺんに亡くなったなんて
どれほど辛かっただろう
今もすごく辛いはず
それなのに闇落ちしたりひねくれたりすることもなく
こんなに澄んだ瞳をして真っ直ぐに生きている。
桃
偉いな。
いじらしいな。
守ってあげたい
守ってあげたいな。
胸の奥
不意に炎が灯った。
横目でダメ親父を窺うと同じくぽーかんで口まで開いている。
「桃さあ、やっぱちょいちょい敬語でるよね」
「あ、ごめんなさい、つい」
「早く直してよ。桃にオイコラって言われたい」
うふふクスクス
桃と紫苑は楽しそうに笑いあう。
そうなのだ
姉に対して敬語
それが付き合ってる感を強く感じさせるのだ。
「もー、紫苑も桃も、ここはお家じゃないのよ。じゃれあわないの」
のほほんと二人をたしなめる佐藤さん。
ダメ親父がおずおずと
「二人は随分仲が良さそうだけど、桃ちゃんは紫苑ちゃんに敬語使ったりするんだ?ちょっと変わってるね?」
その問い掛けに佐藤さん家族が一瞬黙り
三人顔を見合わせて
そして
「このことも、今日お話しようと思っていたことなんだけど……実は桃は、私の妹の子供なの」
えっ
「ずっとアメリカで暮らしていた妹夫婦が去年交通事故で突然亡くなって……それで一人娘の桃を私が引き取ったの。なので紫苑と桃は本当の姉妹ではなくて、従妹どうしなのよ」
えええっ
佐藤さんが隣の桃の肩をそっと抱く。
俯き加減の桃
それでも気丈な笑顔で頷く。
「桃は遠慮がちな子だから、一緒に暮らし始めてからも私達に敬語を使っていて。普通に喋っていいんだよって言い続けて、やっとこんな感じかな……ね、桃」
そうか
そうだったんだ
そうだったんだね桃……
佐藤さんの話はぽつぽつと続いた。
けれど私の頭には全然入って来なくて。
桃
シングルマザーの家庭とはいえ
可愛がられて大事にされて
伸び伸び育ってきたんだろうなって勝手に思ってた。
それに比べて私の境遇は最悪だったからこんなにひねくれちゃったよ、なんて
変な不幸自慢を感じてた自分が恥ずかしい。
じわじわ目線が沈み込む。
両親が交通事故でいっぺんに亡くなったなんて
どれほど辛かっただろう
今もすごく辛いはず
それなのに闇落ちしたりひねくれたりすることもなく
こんなに澄んだ瞳をして真っ直ぐに生きている。
桃
偉いな。
いじらしいな。
守ってあげたい
守ってあげたいな。
胸の奥
不意に炎が灯った。
