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黒猫と白薔薇

第1章 淡い日常

今日は、任務も何もない。久しぶりの休日だから寝て過ごそうとも思っていたが、まあこんな日もいいかもしれない。


 女は好きじゃない。でも――ふっと肩の力を抜き、シアを手招きする。


「いいよ。好きなもの選べば」

「……! うんっ」


 すぐに、ぱっと花が開いたような笑顔に変わる。くるくると表情が変わる少女を、見守りながらひとつ欠伸をする。 


 カナタは察しているだろうから、わざわざ伝えてやる必要もないだろう。いつもへらへらしているがああ見えて、かなりの癖者だ。


 ――万が一にも、認めたくはないが。


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