素敵な飼い主様
第7章 戻れない
とりあえず、謝ろう。
謝って、仲直りしたい。
そして、伝えるんだ。
「好き」と。
あたしは、苛立ちを隠さない神矢へと歩み寄った。
その彫り物のような、美しい神矢の横顔を、久しぶりに近くで見た。
「神矢・・・」
長めの、漆黒の髪から覗く切れ長の瞳が、あたしを捉える。
けれど、その瞳は鋭い。
薄く形の良い彼の唇が開いた。
「様だ」
「・・・え?」
無視されなかったのはいいけれど、ギロリと睨まれる。
「使用人の分際で呼び捨てなんかしてんじゃねぇ。神矢様と呼べ」
「・・・・・・っ」
あまりにも冷たい声で、顔でそう言うから。
あたしは泣きそうになった。