革靴を履いたシンデレラ
第4章 シンデレラの落とし物
いわゆる、近親相姦。
シンデレラの住まうここでは奔放な性と同じく、それは特に珍しいことではない。
舞踏会の夜からもうすぐ一週間になろうとしていた。
本日のシンデレラは昼間からダイニングテーブルに突っ伏していた。
窓から差し込む陽光が、彼の透き通る髪を輝かせている。
「まあ、シンデレラ、熱でもあるの。 もう家に女性を連れ込まなくて四日目よ」
「ホントにねえ。 せっかくあれから連日、お呼ばれの手紙も絶えないというのに」
などと、姉妹が声を掛けても
「大事ない……と言いたいが。 どうも食指が動かない」
彼は目の前でふるふると揺れるたわわな四つの乳房と二つの尻を、景色を眺めるがごとく見つめた。
それから「いや、無理だな」などと呟き、首を横に振る。
彼の傍に立っていた姉妹は不思議そうに顔を見合わせ、互いに肩をすくめる。
冷静な頭でシンデレラが考えるに、彼女・リーシャは男には慣れていたが、行為はぎこちなかった。
もちろん挿入も初めてだっただろう。
万一親から何らかの性的なことを強要されていたとしても、だ。
リーシャ自身がシンデレラを拒否した。
(それならば俺に何が出来る? ただ待つ以外に)
それからの彼も、外に出掛けるわけでもなく、家に閉じこもり自室で考えごとをしているか、部屋からふらっと出てきても、心ここにあらずといった様子で日々を過ごしていた。