革靴を履いたシンデレラ
第7章 蒼い瞳をもつ理知的な女*
大いにベッドを揺らした後で、シンデレラがイザベラに声をかけた。
「一緒にシャワーに行こう」
「ふあ」
枕に顔を埋めていたイザベラは動けずにいた。
(こ、この人……こんなだっけ……?)
昔の彼は歳の差を気にしてか、比較的こちらのペースでことを進めていた。
というよりも、相手が誰であっても、イザベラは自分を抑えていたはずだった。
「だってホラ、お互いに汗をかいたし、君の可愛い所をたくさん汚してしまったから」
「………」
そして何なんだろう。
さっきから、彼が連呼してくる可愛い攻撃は。
(それって一回りも歳上の女に言う言葉なの?)
柄にもなく顔が熱くなるのが分かる。
「貴方も生意気になったものだね」
頭上から、クスクスと小さく笑う彼の声が聞こえた。
「全く、大人をからかうもんじゃないよ」
「俺も成人してるんだけど」
彼の指先がイザベラの背骨に沿って移動する。
過敏になつている肌に、ゾクリとした感覚。
「うんと大人と、成人したばかりの大人は違うの」
「どうした、イザベラ? 気を悪くした?」
腰の辺りを遊ぶ指に、意識が逸れてしまう。
「……放っておいて」
「体が動かないなら洗ってあげる。 可愛いイザベラのためなら」
「っだから!」
それで抗議しようとしたイザベラの、頬にキスを落とされるのと、彼の指先が足の間に潜り込むのは同時だった。
「やぁ……んっ」
「ほら可愛くなった」
キュッと脚を閉じようとして、指をそこに閉じ込めてしまったのは不可抗力だ。
濡れそぼって何の障害もない秘部を優しく弄り回される感触がした。
「もう……悪戯は止めて」
室内はすっかり暗くなり、愛撫の音だけがイザベラの耳をくすぐる。
女を悦ばせることに長けた動きで自然と再び官能に引きずり込もうとする。
あんなに達しておいて、自分も大概だと彼女は思う。
「頑張って起きないとまた襲うよ」
「ぁあ……だめよ」
のろのろと腕に力を入れ、何とか起き上がろうとしたイザベラの体をシンデレラが自分の方に引き寄せた。