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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第2章 25バンチの訓練コロニー


「娘は、ケイトはどんな様子です?」


「ふむ、実はあまり良い状況ではありません
 お伝えしていた通り、スリーブ状態から戻っていないままです
 身体的な外傷もありませんし、頭を強く打った様子もありません
 医療スタッフによると精神的なストレスがこれ以上脳に刺激を送らないようストップさせているのではないかと考えております

 つまり強壮剤で強引に目覚めさせないほうが良いと考えております」


「そうですか、皆さんには感謝しています
 当分このまま待つしか無いのですね」


「そのほうがよろしいかと」


「宇宙空間に漂流したままでもおかしくなかった、救助していただいたのは本当に奇跡だと自分でも思いますよ
 娘が目覚めるまで、私も事故の捜査に協力しますよ」


「ワトキンスさん、前向きになっていただいて結構ですな! 今も事故現場近くは捜索や調査を行っております
 数百名のクルーが関わっております

 シャトルの残骸から事故当時の様子を調査するスタッフも居れば、作業ポッドで回収するスタッフも、

 そして私は貴重な生存者のご意見をお聞きするのが役目です
 何か改めて思い出したことや、
 気になった事があればいつでもおっしゃって下さい
 少し休憩しますか?」


「いや、続けましょう
 会話をしていると、何かの気付きが引き出されてくるかもしれない
 それに独りで待っているだけのほうがツラい」


「わかりました、無理はなさらずに
 ではシャトルが飛び立った直後のことを思い出してみましょうか?」


「ええ、わかりました
 そうだな……、シャトルがロンデニオンを出発してすぐに船長からの挨拶がありました
 
 ええっと、誰だったかな
 クリス、クリス船長だったか」



「ええ、その通り
 クリス・ケンティス船長はベテランのパイロットです
 以前は軍に所属していた経歴がありますね
 退役して民間シャトルのパイロットになっています」


「彼は気さくな人物でした
 娘にも声を掛けてくれました」


「娘さんには何て?」


「娘はロンデニオン・コロニーから出た事がありません、コロニーを外側から見ることは初めての体験でした
 彼女はずっと窓を眺めていましたよ

 ちょうどクリス船長がデッキに降りて皆に挨拶をしていたとき、娘がコロニーから光りが見えると言ったのです」





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