シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第2章 25バンチの訓練コロニー
「そうです、我々25バンチコロニーではその時間、コロニーの外壁で訓練を行っておりました
軍事演習ってほどではありません
小隊による射出試験です
娘さんはおそらくその光りを見たのでしょう」
「そうですか、
その試験をクリス船長は聞いていなかったようで慌ててコックピットに戻りました
娘の声に反応して、他の搭乗客もみなコロニーを眺めていました
そのとき、“ヤツ”が現れたのです!
今でも信じられない!
あんなものが居るだなんて!」
「そう、不思議ですな
私もあなたから聞かされて驚きました
宇宙と“サメ”だなんて……
例えば、この写真を見てください」
カウンセラーはタブレット端末を操作して数枚の写真を見せた
そこにはミサイルにペイントの画像だ
目と口が描かれ、漫画的なキャラクターのように塗装が施されている
それ以外にもシャトルに顔がペイントされたものなど数枚
「いやいや、私が見たのはこのようなコミカルなものでは無いんです
もっとリアルで……
それに口がガバッと開いてくる様子も」
「そうですね、子供ならともかく大人の貴方が見誤る事は無いでしょう
ワトキンスさん、あなたは実際ご覧になってどう思いました?」
「まさか、と思いましたよ!
私も実際のサメなんて見たことはありません
映像や画像で何となく知っている程度です
特に意識してドキュメンタリー番組を見たこともありません
何となく知っている程度ですよ?
クジラ、イルカ、サメ…
そんな程度です」
「それでもすぐに“サメ”だとわかった、と言いたいのですね?」
「ええ、盲目的に何でも“何か”に見えてしまうような事もありません
何かを見誤るとか言うレベルの話しではなく
本当に、リアルな、生物のサメが
そこに居たのです
いまだに自分でも理解できません
娘が意識を戻して、私の言葉を支えて欲しいぐらいだ
やっぱりお前も見たのか、と」
「そうですな、娘さんの意識が戻ることが最優先です
サメがシャトルを襲う目的は何でしょう?
そもそも宇宙空間にサメが居る事も不思議ですが、サメが無機質な機械を襲ってきたのは何故なんでしょう?
もちろんワトキンスさんが知る由もない事はわかっています
あなたはどうしてだと思います?」