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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第2章 25バンチの訓練コロニー


カウンセリングは急遽中止となり緊急処置が始まった


ゾロゾロと白衣のスタッフが部屋に入ってくる


「おい、ヒプノダイバー持って来い!」

「今?今ですかッ!?」

「今しか無いだろうッ!?」


ザックのガラス1枚隔てた隣室は緊張感か高まった


「ヒプノダイバーって?」

「催眠療法で使う機械よ、ちょっと私も行ってくるわ!」


スージーも慌てて出て行った


隣室では洗濯機ほどの大きさの機械が運び込まれた
様々な計器類とケーブルが繋がっている


医療スタッフが総出で意識を失ったダニエルを取り囲むとケーブルを彼に巻き付けていく


眺めていたザックの横に居たスーツ姿の男が近寄ってきた


「あれはね、潜在意識の中で留まっている感情を呼び起こす機械だよ
 人間の脳はよく出来ていてね
 都合の悪い記憶は蓋をしてしまうことがある
 ヒプノダイバーは過去の感情を誘導しながら思い返す事が出来るんだよ
 本人が忘れていた記憶がね」


「へえ?」


「ただ、あまり軍医たちは公表したがらない
 余計な詮索をメディアに突付かれても迷惑だからね、だからキミも気を付けておくれよ?」


「わかってますよ、他言はしません」


「結構、ところでキミは医療スタッフでは無さそうだ、でも此処に居るのなら関係者なのだろう?」


「ええ、俺はモビルスーツのパイロットです
 彼をシャトルから回収しました」


「ああ、キミか!よく生存者を見付けられたね
 優秀なパイロットさんだ!」


ザックはどこか茶化されたような気がして、男に警戒した


「そう身構えなくてもいい
 我々は軍部の保安部の者だよ
 同じ連邦軍だ
 シャトルの事故を担当しているルーク・ハウリングだ

 その、キミも見たのかね?
 “サメ”とやらを?」


「いえ、ボクが到着したときにはシャトルの残骸だけで…
 申し遅れました、ザック・ネイラーです」


ザックは敬礼をしたが、この胡散臭い男には気を許せ無さそうだ、と直感した



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