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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第4章 男装の麗人クレリア


宗派の違う牧師なら、極稀に女性が居たりするものだ
だがこの女性は司祭の格好をしていた

「いろいろあってね、この格好のほうが便利なときもあるのさ
 それより、キミ大丈夫かい?

 かなりデミトリッヒに眼をつけられていた
 当分おもてには出ないほうがいい」


ザックはなせ身体に力が入らないのか、自分でもわからなかった

そして“デミトリッヒ”と言う名前に聞き覚えがあった


「デミトリッヒ…? 何者なんだ?
 そう言えばフィリップがその名を言ってたな」


男装の司祭はその瞬間目を見開いた


「なんだ、フィルの知り合いか
 アンタはこの街の人間じゃないな?
 基地の軍人か?
 フィルめ、おとなしそうな顔していながら軍人と関わっていたなんて!意外な奴だな!」


「いや、俺もさっき酒場で会っただけなんだ
 なんだよ、知り合いか?
 いや、そりゃあそうだよな彼も修道士だった」

「彼は私の弟子みたいなもんだよ

 それより立てるかい?
 此処を立ち去ったほうがいい
 キミ、眼をつけられていたからな
 彼の取り巻きがキミを探しにくるぞ?」


男装の司祭が手を貸そうとするがザックは断った

軍人のプライドがそうさせた


「大丈夫だ、とりあえず離れよう
 仲間とはぐれちまったが、仕方がない
 アンタ、名前は?
 ここの人なら安全なルートを知ってるだろう
 悪いが案内してくれないか?」


「ああ、わたしも退散している途中だったんだ
 わたしはクレリア・ラーナー
 見ての通りただの神父さ」


「怪しい奴だ」


「助けてやったのにひどい言いぐさだな
 さ、こっちだよ」


ザックはクレリアに促され雑居ビルの路地裏へ進んでいった


マットとスージーのことも気になるが、いまは早急にこの場を離れたほうが良さそうだ


胡散臭い街、ジョージタウン

胡散臭い男、デミトリッヒ

胡散臭い女、クレリア


ザックはこの場所が一気に気に入らなくなるのだった…

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