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シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない

第4章 男装の麗人クレリア



ザックはクレリアに連れられて路地裏にひっそり佇む小さな教会にやってきた


「…駄目だな、全然つながらない」


ザックは通信端末を軽く叩いた


「今は集会があったからジャミングされてるんだよ、ミノフスキーなんちゃらとかいう奴だ
 当分外部との通信はできないだろうね」


「どうして怪しい男の集会にミノフスキー粒子をばらまいてジャミングさせてるんだ?」


「さあね、ここで起こっていることを外部に漏らしたくないんじゃないか?
 廃棄された訓練コロニーの中で、反連邦の団体が巣くってるなんて、基地の連中には知られたくないだろう」


ザックはまだ若い軍人だ
治安を守る連邦組織に何の不満があるというのか、まだよく理解していなかった


「そう言うアンタは何なんだ?
 こんな廃墟で宗教活動もないだろう
 俺にはアイツらとアンタの違いがわからないな」


「まぁ、そうカッカするなって!
 私は司祭として此処に居る
 彼を、デミトリッヒを止めるためにね」


「司祭は男性しか就けない職種だ
 女性ならシスターになるが、シスターは儀式は行えないはずだ
 異教徒の牧師なら理解出来るが、アンタの格好は神父そのものだ
 それかただのコスプレか?」


ザックはもらった水を飲み干し、クレリアを睨みつけた



「そう怖い顔をするなよ、少年
 この格好のほうがなかなか便利なんだよ
 民衆にはね
 それに私は儀式を行っているんだ
 もちろん内密にだけどね
 当然教会本部から認められるわけがない
 だが止めなければならない奴がいるんだよ」


「それがデミトリッヒってやつなのか?
 彼は何なんだ?」


「正確にはわからないけど、悪霊が取り憑いた男、もしくは悪霊そのものかもしれない」


ザックはそれを聞いて笑った


「ハッ!このスペースコロニーの時代に悪霊だって?とんだ神父サマも居たもんだな!
 そうやって無知な民衆を惑わせているのはアンタのほうなんじゃないのか!?」


「この宇宙世紀の時代、それでも不可思議な事は起こるものさ!ザック、アンタは理解を越えた現象に遭遇したことは無いのかい?」


そう言われてザックは言葉が詰まった


あの“宇宙を泳ぐサメ”に出くわしてしまったのだから


何も言えなくなったザックを見てクレリアはフフフと微笑んでいた…


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