シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第7章 海岸線
コンテナは厳重に施錠され、基地の方まで運搬された
作業船に作業用ポッド、それらを護衛するように何機ものモビルスーツが取り囲む
一代捕物がようやく終わったのだ
役目を終えたザックたちは輸送船の中にコンテナを搬入するところまで確認して警備から離れた
7名のパイロットがモビルスーツから下りてくると、皆がわぁっと集まってきた
みな、笑顔だ
群衆の中にザックはサムを見つけて駆け寄った
サムは亡くなったダンの恋人で、物静かで儚げな印象の女性メカニックマンだ
ザックはサムに軽くハグをする
「サム、ダンの仇はとったよ」
「ありがとう、ザック……」
彼女の声は小さく震えていたが、決して涙は見せなかった
ザックは“こんなに繊細なサムなのに、とてもき気丈なんだな”と思った
逆に言うとサムは感情を表に出すのが苦手なタイプだ
ザックはそれをわかっていて、彼女の本当のツラさが伝わってくるのだ
他の人からみたら彼女の反応は冷たいと思うかもしれない
恋人の死に声を荒げることも無かったからだ
でもザックにはわかっていた
彼女が表情や態度に出さなくても、彼女の苦しみがとても深く大きなものだということを
「ダンは最高のヤツだったよ、彼に色々教わった……、彼の宿敵は強かった、とっても
ダンがここに居ないのが寂しいよ」
「ザック、彼も喜んでくれているわ……
でもわたしの心は引き裂かれたまま、
わたしの苦しみはこれから始まるのよ
でも同情しなくていいの
ダンはわたしの中に居るから
もちろんザック、あなたの中にもね
ありがとうザック
本当に……」
ザックは身体を離し、皆が集まる群衆のほうに戻ろうとする
「サム、また話しをしよう!話しをし続けているあいだはダンが此処に居るってことだから!
それじゃあ!」
ザックは手を振って、皆の輪の中に戻っていった