獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第5章 推されなれないものだから
翌朝目覚めた私は見慣れない天井に目を瞬かせた。
まるで吹き抜けみたいだなんて、ボーッとすること約四秒。
勢いガバッと起き上がり、
「………!!!………!?」
直後、体中を刺すように走る痛みに顔をしかめた。
「おはようございます、ご主人」
愛犬が床の上に置かれたタブレットを覗いているシュールな光景が視界の端にうつる。
「おはよう、シン。 何してるの?」
「ニュースを見ているのですよ」
ああそう、としか言いようがないがその前に。
「シン? ここセイゲルさんの部屋よね? えっと、昨日のことがあんまり記憶にないんだけど。 それから何で私、こんなに体がボロボロなの?」
脚や腕や顎、そこら中にガーゼや包帯が巻かれている。
よくよく見たら他にも細かな擦り傷などがたくさんあった。
「まあ……そうですね。 あんな体勢のまま致しましたら普通は。 ご主人は雌犬じゃないんですからと、さすがの私もセイゲル様に苦言を呈しましたよ」
シンのセリフで断片的な記憶が思い起こされる。
セイゲルさんが私を抱いて外を歩いていた時。
なんだかまた、シーツみたいなもので体をぐるぐる巻きにされて。
『いくらセイゲル様といえども、ご主人を私たちと同類の雌犬呼ばわりするのは許しませんよ。 まあ、ご主人もご主人ですが……大体そんな風に扱うのならば、最初から外に出さなければ良かったのです』
歩きながら珍しくシンがブリブリ怒っていた。
『全くだな。 度量もないのに理解ある男の振りなんて、馬鹿げた話だ』
自嘲気味に呟いたセイゲルさん。
その声は悲しい色を滲ませて。
おでこに彼の頬が当たり、私は薄く目を開けた。
『わ、私が悪い、の。 私が……』
うわ言みたいに呟いた私にセイゲルさんはひと言。
『……俺のうちに連れ帰っていいか』
そう訊いたので『はい』と答えて後はプッツリ、糸が切れたみたいに何も覚えていない。
あれは意思確認だったのだと思う────私が彼を受け入れることに対しての。
まるで吹き抜けみたいだなんて、ボーッとすること約四秒。
勢いガバッと起き上がり、
「………!!!………!?」
直後、体中を刺すように走る痛みに顔をしかめた。
「おはようございます、ご主人」
愛犬が床の上に置かれたタブレットを覗いているシュールな光景が視界の端にうつる。
「おはよう、シン。 何してるの?」
「ニュースを見ているのですよ」
ああそう、としか言いようがないがその前に。
「シン? ここセイゲルさんの部屋よね? えっと、昨日のことがあんまり記憶にないんだけど。 それから何で私、こんなに体がボロボロなの?」
脚や腕や顎、そこら中にガーゼや包帯が巻かれている。
よくよく見たら他にも細かな擦り傷などがたくさんあった。
「まあ……そうですね。 あんな体勢のまま致しましたら普通は。 ご主人は雌犬じゃないんですからと、さすがの私もセイゲル様に苦言を呈しましたよ」
シンのセリフで断片的な記憶が思い起こされる。
セイゲルさんが私を抱いて外を歩いていた時。
なんだかまた、シーツみたいなもので体をぐるぐる巻きにされて。
『いくらセイゲル様といえども、ご主人を私たちと同類の雌犬呼ばわりするのは許しませんよ。 まあ、ご主人もご主人ですが……大体そんな風に扱うのならば、最初から外に出さなければ良かったのです』
歩きながら珍しくシンがブリブリ怒っていた。
『全くだな。 度量もないのに理解ある男の振りなんて、馬鹿げた話だ』
自嘲気味に呟いたセイゲルさん。
その声は悲しい色を滲ませて。
おでこに彼の頬が当たり、私は薄く目を開けた。
『わ、私が悪い、の。 私が……』
うわ言みたいに呟いた私にセイゲルさんはひと言。
『……俺のうちに連れ帰っていいか』
そう訊いたので『はい』と答えて後はプッツリ、糸が切れたみたいに何も覚えていない。
あれは意思確認だったのだと思う────私が彼を受け入れることに対しての。