獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第7章 嫌いの影響
気のせいだろうか。
ここに来てから初日以来、シンが寝てばかりいる。
……以前はどこに行くにもついてきてくれたのに?
「シン、最近どうしたの? どこか具合でも悪い?」
今日も寝室の隅で丸くなっている彼に声を掛ける。
ピク、と耳を動かしたシンが大きな欠伸をした。
「ふわああ……ここの空気のせいです。 人の世界と違い余りにも平和なので、ついいつも気が緩んでしまうんです」
カシカシ前脚で頭を掻き、再びうとうとし始めるのを見て私は呆れた。
「もー、外に散歩に行けない分、ちょっとは運動したら? メタボ犬になるよ!? それに私、シンに訊きたいことがあるの」
彼の前に座って背中に手を置き、ゆさゆさ揺する。
セイゲルさんから以前言われたとおり、私は女性が働くことについての話を、聞かせて欲しかったのだ。
するとちょっとだけ面倒臭そうに薄目を開けたシンは、身を起こしてお座りをしてくれた。
それから内容を話すなり……
「またよりによって、なぜ最初にセイゲル様に言ったんですか。 それは反対するに決まってます。 セイゲル様にも、無知は罪だと言われたでしょう」
しょっぱなからお小言をもらってしまう。
「……そ、そんなにがみがみ言わなくっても」
身に覚えがあり過ぎるため私は正座をしてうなだれた。
「だって、隠し事なんて嫌だし。 セイゲルさんに何でも話したいもの」
「まったくもってご主人は軽挙妄動過ぎるんですよ」
シンは昔から、いつもそんな私のフォローをしてくれていた。
話せなかった頃は、私が何かマズいことをしようとすると、グイグイ服をかじって引き止められた。
その後、冷たい目で一瞥するか大きなため息をつかれていたのだが、いざ言語化されると心臓に刺さる刺さる。
「なんで女性が働くのはダメなの? やっぱり外に出るから?」
彼のご機嫌を伺いながらもう一度尋ねてみる。
「それもありますけど……働く女性とはこちらではもれなく、花を売る女性を指すのです」
「花……って、風俗とかのこと? こないだ外に出た時、獣人たちは私のこと、珍しそうに見てたよ」
『初めて見た』シンと街を歩いていた時に、そんなことを言われたような気がする。
ここに来てから初日以来、シンが寝てばかりいる。
……以前はどこに行くにもついてきてくれたのに?
「シン、最近どうしたの? どこか具合でも悪い?」
今日も寝室の隅で丸くなっている彼に声を掛ける。
ピク、と耳を動かしたシンが大きな欠伸をした。
「ふわああ……ここの空気のせいです。 人の世界と違い余りにも平和なので、ついいつも気が緩んでしまうんです」
カシカシ前脚で頭を掻き、再びうとうとし始めるのを見て私は呆れた。
「もー、外に散歩に行けない分、ちょっとは運動したら? メタボ犬になるよ!? それに私、シンに訊きたいことがあるの」
彼の前に座って背中に手を置き、ゆさゆさ揺する。
セイゲルさんから以前言われたとおり、私は女性が働くことについての話を、聞かせて欲しかったのだ。
するとちょっとだけ面倒臭そうに薄目を開けたシンは、身を起こしてお座りをしてくれた。
それから内容を話すなり……
「またよりによって、なぜ最初にセイゲル様に言ったんですか。 それは反対するに決まってます。 セイゲル様にも、無知は罪だと言われたでしょう」
しょっぱなからお小言をもらってしまう。
「……そ、そんなにがみがみ言わなくっても」
身に覚えがあり過ぎるため私は正座をしてうなだれた。
「だって、隠し事なんて嫌だし。 セイゲルさんに何でも話したいもの」
「まったくもってご主人は軽挙妄動過ぎるんですよ」
シンは昔から、いつもそんな私のフォローをしてくれていた。
話せなかった頃は、私が何かマズいことをしようとすると、グイグイ服をかじって引き止められた。
その後、冷たい目で一瞥するか大きなため息をつかれていたのだが、いざ言語化されると心臓に刺さる刺さる。
「なんで女性が働くのはダメなの? やっぱり外に出るから?」
彼のご機嫌を伺いながらもう一度尋ねてみる。
「それもありますけど……働く女性とはこちらではもれなく、花を売る女性を指すのです」
「花……って、風俗とかのこと? こないだ外に出た時、獣人たちは私のこと、珍しそうに見てたよ」
『初めて見た』シンと街を歩いていた時に、そんなことを言われたような気がする。