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恋慕

第26章 戦場…朕と弦



「…罪は重たい…?
先に裏切ったのは…そいつだぞ…」

 と、もう既に死んでいる青年を指差し…
弦は…前のめりになり…屋根の上から…
落ちていった…

 朕は、すぐさま扇子を仰ぎ…弦の身体を
自分の方へと引き寄せ…抱き締めた…


「弦…そなたは何をやっておる…」

 と、朕は弦の手を取り…涙ぐむ…


「…あれ…?
おいら…屋根の上から落ちたはず…それに、
おいらには…
指一本、触れないんじゃなかったの…?」


「今は、それどころではない…
今すぐ墓石まで…逃げるぞ…
祭とシャンが待っておるやもしれぬ…
何だか…嫌な予感がするのじゃ…
弦よ…決して眠るなよ…
我を独りに、しないでおくれ…」

 そう言うと…
朕は弦を抱え…墓石の処へと向かった…

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