ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
「やぁ、ファ!今日もいい天気だね!」
フィリップが挨拶をすると小さな女の子は笑った
「コロニーの中で天気の話題をするなんてやっぱりフィルはアースノイドなのね!」
10歳の女の子の攻撃にフィリップは頭を掻くしかなかった
「さぁ、ファも皆の列に戻ってね
あんまりフィルをいじめないであげて」
リンダは笑いながら助け舟を出してやった
顔見知りのフィリップと出会えて嬉しかったファだが渋々子どもたちの集団に戻っていった
リンダは笑いながらフィリップの肩にポンポンと手を置いてやる
「フィルは相変わらず子供たちが苦手なのね」
「うーん、苦手というか生意気ですよね
最近のガキンチョは!」
フィルは肩に乗せられたリンダの手が気になった
「フィルは反応が可愛いから歳上の女性から人気があるのね」
そのような言葉を姉なように慕っているリンダから投げかけられるとドギマギしてしまう
「シスター・メンドーサが貴方のことをカワイイ坊やって呼んでいたわよ?」
メンドーサはシスター長の老婦人である
「歳上って……、シスター・メンドーサはお婆ちゃんじゃないですかッ!?」
リンダは笑いながら子供たちのほうへ行ってしまった
“なんだよ、せっかく終わってからもリンダさんと話しをしようと思ってたのに、
まるで子供扱いだな”
フィリップはため息をつきながら舞台上で準備をしているフリードキン神父のもとへ向かっていった
「おお、フィル!わざわざ持ってきてもらってすまなかったな!」
「神父!十字架を忘れるなんてありえないでしょッ!?」
「ははは!そう言うな!
私個人のものは携帯しているんだが今日は壇上に上がるだろ? やはり見栄えのする聖ベネディクトの十字架でないとな!」
「これってボクが地球から持ってきた神父マックスのものですよね?」
恩師から託された立派な十字架はフィリップにも見覚えがある馴染み深いものだった
フリードキン神父は大事そうに木箱に収められていた十字架を取り出すと自ら首に掛けた
「助かったよ、フィル!」
そういってフリードキン神父は拍手に包まれながら壇上に上がっていった