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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第2章 ファ・ユィリィ


1週間後、再び幼年期クラスと初等科クラス合同の「お祭りイベント」が始った


フィリップも民間の協力者という立場で参加している

と言ってもバザーの店番だ

校区の外でシートを広げ、皆が家庭から持ち寄った不用品を破格の値段をつけて振る舞っていた


「これも教会の大切なお仕事よ」
とシスター・リンダに言われて渋々やっていたがこんなことを続けていても意味は無い、とだんだん苛々してきた


そこへ若い神父がやってきた


「ご苦労さん、フィル!」


「ミラー神父!巡回ですか?もうボクは飽き飽きなんですけど!」


「そうボヤくな、少年! これも地域に溶け込むための大事な仕事だ、がんばれ!」


「そんなに溶け込む行為が必要なんですか?」


「フィル、困っている人や不安を感じてる民衆はたくさん居るよ、でもそのほとんどは何かにすがりつかなければ立ってられないような人たちさ
 私やキミのようにすがらなくても立てる人間にはなかなか理解できないものだよ」


「ミラー神父、でもボクはそんなうやむやなモノじゃなく本当に悪霊と呼ぶものに遭遇したんです、不安な人の心が生み出したようなものでは無く……」


「わかっているよ、フィル
それは凄い体験なんだよ、我々は何度も儀式を執り行っているがそのほとんどは気弱な心が生み出したものだ、我々の中でも本物に遭遇した者などほとんど居ないくらいだ
 だからキミは貴重な体験をし、だからこそ何とかしたいんだろう?私も応援しているよ」


そう言ってミラー神父は校内の巡回に戻っていった


真面目に話しを聞いてくれるミラー神父にフィリップは好感を持っていた


だが、


それは数時間後に考えを改めさせられてしまう

教会に戻ってきたとき建物の陰でフリードキンとミラーが口論しているところを目撃してしまったのだ
フィリップは身を潜めて彼らのやりとりを聞いてしまった


「神父フリードキン、どうして次の儀式にフィルを連れて行くのですッ!?彼は聖職者ではありませんよ?」


あれほどフィリップを応援していると言っていたミラー神父であったが、裏では部外者扱いして排除しようとしていたのだ


フィリップは人が信じられなくなっていた



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