ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
それから数日後
皆と距離を置いていたフィルだが少しづつ輪の中に入り、元のように戻りつつあった
しかし笑顔で近付いてくるミラー神父には身体がこわばってしまう
親切な言葉をかけられるたびにフィルは心臓を締め付けられたかのようにぎゅううっと痛むのだ
皆にやさしく接するミラーは人気があった
老神父たちほど頭が固くなく、若いものより信頼があり頼れる男だったからだ
それだけにフィルには裏切られた感が大きく、さらにその気持ちを誰かに伝えたとて誰も信じてはくれないだろう
若さで皆と衝突してしまうフィルと、落ち着いたミラーとでは周りからの信用は段違いなのだから
フィルは団体行動を潤滑にするため、皆の輪に入っていく事を選択したが、決してまわりには気を許さないようにすることになった
それを敏感に感じ取ってしまったのはいつも近くに居てくれるシスター・リンダだった
お互いを姉、弟のように身近に思える間柄だったからこそ、フィルの警戒心に気がついたのだろう
「最近はみんなと一緒に奉仕活動ふるようになったのね、以前に気にしていた壁が取り除けたのかしら?」
リンダの部屋で次のイベントの内職を手伝っていたフィルは一瞬手を止めたもののすぐに作業に戻る
「別になんでもないさ、気にしすぎだよ?
ボクだって皆と騒ぎたいときもあれば、
1人になりたいときもあるんだから!」
フィルは気づかれないように懸命に笑顔を作った
「1人はダメよ、どうしても皆と一緒に居たくない瞬間があったらここに来なさい、わかった?
わたしはあなたのそばに居てるから」
「わかってますよ、リンダはすっかり姉さん気取りだね」
「それと……、これは言わないでおこうか迷ったのだけれど……
一定の子にかまっててはいけませんよ?
誰が、どこで見ているかわかりませんし、
勘違いされるのもイヤでしょう?」
フィルはミラー神父のいやらしい笑顔が頭に浮かんだ
たしかにスクールで作業をしているといつも小さなファがそばに居た
当然スクールの中だから皆からも見えているだろう
まんべんなくいろんな子どもと接していると気にもとめられないが、常に同じペアでいてることは目立ってしまうのだろう
ミラー神父め!何を陰でコソコソと!
フィルはますます警戒したのだった