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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第2章 ファ・ユィリィ


翌日、スクールでイベントの飾り付けを手伝っていたフィルは周りの修道士たちに頼まれて高い脚立の上に登っていた


天井から皆で作ったリボンを取り付けていく


普通の作業用の脚立と違い、施設の高い天井の電球を取り替えられるほどの高所用脚立だったので、修道士たちはみな怖がったのだ


“地球に居てたらともかく、こんな宇宙空間のスペースコロニーの中で、高い所が怖いだなんて、スペースノイドって変わってるな”

と高さに対して恐怖心が薄いフィルが皆に代わり飾っていった


床のほうから「いやぁキミが居て助かったよ」と声をかけてくるミラー神父に嫌悪感を抱くが、

「お安い御用ですよ、他に高い場所の作業があったらお申し付け下さい、ミラー神父」
と順応したフリをすると苛立ちは少しマシになった


“おかしなものだ、別の角度からでも吐き出してしまえば心がスッキリするなんて!”


人間の心はなんて不安定なものなのだろう

あそこでミラー神父に悪態をつくことも出来ただろうが、そうして何になる?

余計な揉め事、衝突をしてしまっては後々不利になるのは自分のほうなのだから

あそこでフリでもいいから、打ち解けあっているやり取りをするだけでも、少しは気が晴れる

本当に少しだけだが


フィルは何となく自分の心が落ち着いてきているように思えてきた


そのあと、皆とお昼ごはんをとり、満腹となっていたフィルは校庭の木陰でゴロリと横になっていた


そこに小さな女の子が近付いてきた

ファだ


「どうしてあのとき、あんな言い方をしたの?
 あの人のこと良くは思ってないでしょう?」


「ファ、気に入った人も居れば、何故かウマが会わない人も居る、それらぜぇーんぶ引っくるめて〈仲間〉なんだよ

 その時の気持ちを伝えることは良いことだけれど、その時の気持ちをガマンすることも時にはいい方向へ転がっていくこともあるのさ」


フィルは目の前の少女に語っていたが、数日前の自分に語ってやりたかったな、と思えて笑みを浮かべた


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