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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第2章 ファ・ユィリィ


救急車が呼ばれ病院で治療を受ける

高額な支払いが出来ないものの、検査入院で一晩だけ病院で過ごすことになってしまった


ミラー神父は本当に申し訳なさそうな顔をして、自責の念にかられているようだ

根は悪い人間ではないのだ


フィルはミラーに謝らないで、と声をかけた
自分の不注意だったのたから、と伝えた


シスター・リンダは病室に残って看病するときかなかったが、フリードキン神父がそれを許さなかった

それに看護師からは付き添いは不要だ、とも言われてしまった


リンダはベッドに横たわるフィルの頬にキスをして「また明日来るわね」と病室をあとにした


看護師が念の為だと血圧やら体温計やら点滴やら済ませると、部屋から出てはダメよと釘を刺された


代わりに退院した患者の残りのテレビカードがあるから渡しておくわ、と一枚プレゼントしてくれた


することもなくテレビを付けてみる


ちょうどそのときはニュースの時間だった


水資源を補給するために火星のアステロイドベルト(小惑星の密集地)から氷の岩石を運んでいる映像が流れていた


その氷の塊をサイド7にドッキングさせ、水資源やら酸素やらを取り込む作業なのだが、ニュースでは不思議なことを伝えていた


何万年と漂流していた氷漬けの岩石だが、中から石像のようなものが見えるのだと言う


フィルはテレビを眺めながら
“こんな宇宙世紀でもまだこんなオカルトちっくな番組あるんだな”
とバカバカしく思いながら画面を見ていた

どうせ岩の形やら、氷の陰影が何かのカタチに見える!とか言い出すのだろう?


低俗なニュース番組だな、と思っていたフィルだったが、次の瞬間ほんとうに心臓が止まりそうになってしまった


テレビ画面に映し出されていた氷の中の小さな岩かげ

それは小さな男の子のように見えたのだ

いや、


そのハッキリとした顔の映像


まさしく先ほど黒い霧に包まれていた少年と全く同じ姿をしていたのだった…!


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