ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
その日の晩は病室でなかなか寝付けなかった
いつもと違う環境というのもあるだろうが、あのテレビで映し出されていた石像の少年が気になった
ちょうどフィルの前に現れた頃、氷惑星がサイド7に接続され、そのまま夜のニュースで流れたのだろう
惑星とともに現れるようになった謎の少年
しかもどうして自分の前に……??
だが思い返してみても見覚えのない顔だった
あれはただの空似だったのかも?
そう頭で整理しようとしていた
でも、あの男の子の目付き
とても恐ろしい眼をしていた
獲物を狙う獣のよう
そう、獣と同じ目付きだった
そういえばシスター・リンダも同じようなことを言ってたっけ?
ファが遠くからボクをみる目が
狙いをさだめているようだ、と……
まさか、まさか
まだ初等部の子供だ
フィルは深夜の巡回の看護師に起きていることを悟られないよう寝たフリをしていたが
「さっさと寝なさいよ」
と小声で言われてしまった
次の日は午前中から何度も検査があった
レントゲン、CTスキャン、MRIなど撮ったあと、頭は打ってないし、骨折もしていないことがわかり、午後から退院することになった
ただし強い打ち身であるのは確かなので一週間は安静にするよう言われてしまった
フリードキン神父が車を手配してくれて迎えに来てくれた
入院と検査の費用はスペースコロニーに入居当時の保険制度で何とかなったものの、ベッドの使用料やシーツの交換代、夜と朝の食事代はしっかり請求されてしまった
「災難だったな、フィル」
「ご迷惑をおかけしまして、申し訳ないです」
「まぁ一週間の休暇だと割り切ったらいい、
何処にも行けないがな?ハハハ!」
「それより神父、少し気になる事がありまして」
フィルは事の顛末をフリードキン神父に打ち明けることにした
天井の高所作業中に黒い霧が見えて来て、少年のカタチをかたどっていた事
それはとても邪悪な気配をしていた事
その日の夜、何万年も昔から漂流していたハズの氷惑星から子供をかたどったようなものが発見され、その姿と瓜二つであった事
それを聞いたフリードキン神父は明快な答えを持っていなく、ただウームと唸っていた
フィルはファの事は神父には言わなかった