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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第2章 ファ・ユィリィ


フィルたちが暮らす教会は小さな建物ではあったが、敷地はとても広かった


町はスペースコロニーのシリンダーの内壁に作られているのだが、教会はシリンダーの両端の港の岩ばかりの斜面の土地を与えられていた


町からは遠く離れていて、出掛けるのは軌道エレベーターを使わなくてはならないのが不便だが
敷地が広い分自分たちだけで自給自足に近い生活が行われていた


男性側の建物と女性側の建物は教会を挟んで反対側に配置されているが、決して異性侵入禁止というわけではない


現にフィルはしょっちゅうシスター・リンダの部屋を訪れていたし、退院後はリンダのほうがフィルの自室へ訪れていた


リンダはフィルの身体の包帯を外していき、身体を拭いてやりながら今日の出来事をフィルに聞かせていた


「フィルには言わないでおこうかとも思ったんだけど、内緒にするみたいでイヤだったから言うんだけど」


リンダが切り出したのはスクールでファが突然卒倒して倒れてしまった、との事だった


病院にも連れて行ったし、明日からはスクールに出ずに自宅療養するのだと教えてくれた



フィルは心配しながらも、

もしかしてファも彼を見てしまったのではないだろうか?と考えていた


「やっぱり言わなければ良かったかしら?」


「ううん、ありがとう
 ちょっと心配になっただけだよ」


「そう? そうだといいんだけど
 小さな子供の中には突然癇癪を起こす子供も居るから、驚いちゃうわよね」


「そんなにすごかったの?」


リンダはフィルの背中から今度は正面に回って首周りや胸のあたりを熱い湯で拭いてくれながら、昼間の光景を語り始めた


どうやらただ倒れただけでなく、何かを呟きながら、ずっと高らかに笑っていたそうだ


フィルは思い出した


幼馴染のエレン・バースティンがおかしくなってしまったときの事を


あの悪魔が再び現れたのだと確信した

それも地上ではなく、この宇宙空間へ!



まるで自分を追ってきたかのように!


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