ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第1章 悪魔祓い
神父は昔から近くの教会に赴任しており、町の人間なら誰でも顔なじみだ
フィルも幼少のとき毎週日曜日にはエレンと手をつないで通ったものだ
その昔なじみの神父が目の前で2階から落ちてきた
フィルは突然の出来事で声が出ない
また足も動けない
誰かを呼ぼうという発想にも至らず、ただ混乱していた
神父の目はカッと見開いたまま
瞳孔が開ききったその様子で、ただの学生であるフィルでもすでに息が無いことがわかった
突然、玄関のドアが開いた
飛び出して来たのはエレンの母親キティと見知らぬ老神父であった
「ああ……、ジョセフ神父……」
老神父は同僚の死に涙を流す
「フィル? どうしてここに?」
顔面蒼白のキティは娘の幼馴染の少年に気がついて声をかける
「か、母さんに頼まれてこれを……、
キティ、何があったの?」
「少年、手伝ってくれないか?
彼を家の中に入れたい」
見知らぬ老神父はフィルに声をかけ、二人がかりで肩を貸してジョセフ神父を家の中に入れた
キティがコップに水を入れて神父に差し出す
すると2階からもうひとりの中年の神父が降りてきた
「我が師、神父マックス……、少女は気を失いました……
同志神父ジョセフは…?」
中年の神父はマックスと呼んだ老神父に声をかけたが、彼はため息をついて頭を垂れた
フィルはその様子を見て二階の少女、幼馴染のエレンに何かあったのかと悟った
「キティ? エレンは?」
キティも床を見据えたまま微動だにしない
代わりに老神父マックスがフィルに声をかけた
「フィルと言ったかね? キミはエレン・バースティンの知り合いかね?」
フィルは何と答えたら良いのか、言葉に詰まった
幼馴染とは言え一緒に過ごしたのは初等部の頃の話しであって、今は友人と言えるほど親密でもなかったからだ
代わりに疲れ切った母親キティが答えた
「……マックス神父さま、彼は隣の家に住むフィリップ・バートンです
エレンの近しい友人です
久しぶりね、フィル!こんなに大きくなっちゃって!昔はいつもエレンの背中に隠れていたのにいつの間にか私より背が高くなっていたのね」
キティは穏やかな口調で話しかけてきた