ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第1章 悪魔祓い
「近しいと言っても小さい頃の話しで…、
ここ最近は話しを交わすこともなくて」
フィルは“近しい”と呼んでくれたキティに申し訳なく思った
「ミセス・キティ、彼は最近の異変を知っていますか?」
「いえ、神父さま…、ここ数ヶ月はエレンはあの状態で私も仕事をしながらなので隣近所との付き合いが途絶えていて……」
「ええ、それでボクの母がキティを心配してお土産を持ってきたんですが……、
何かあったんですか?」
老神父はフィルの顔をじっと見つめた
何かを察した中年の神父は彼が何をしようとするのか気付いて慌てた
「我が師マックス、いけません!
いくら近しい者と言っても彼はまだ少年です!
それに神職でもありません!」
「ジェームス神父、今から教会本部に応援を要請しても数日、もしかすると1週間以上時間がかかります
いまエクソシストを中断するわけにはいきません…
フィル、いまキミの近しい友人エレン・バースティンが危険な状態になっています…
我々は教会本部から派遣された司祭です
苦しむエレンのために儀式を行っています
ですが神父ジョセフが犠牲となってしまいった……
儀式を中断するとエレンがますます危険な状態となってしまいます
フィル、エレンを助けるために私達を手伝ってもらえまいか?」
フィルは状況整理が出来ず言葉が出ない
「いけません、マックス!」
「ジェームス、わかって下さい
ジョセフの死を無駄にしたくありません」
フィルはよくわからないまま、部屋に飾ってあった幾つかの家族写真に気がついた
父親、母親のキティ、そしてひとり娘のエレン
3人が庭で笑っている様子の写真
セルフタイマーで撮ったであろう平和な家族の写真
そうか、最近のエレンはこんなにも大人びた表情で笑うのか、とフィルは思った
幼い頃の記憶はおとこ勝りで自信満々な笑みの印象しかない、だが写真の少し大人になったエレンはすっかり女性の顔をしていた
昔ぼくを毎日助けてくれたエレン
彼女がたいへんなことになっているというのなら
フィルは口を開いた
「神父さま、ボクは何をしたらよろしいのですか」
フィリップ・バートン14歳
これが初めての悪魔祓い〈エクソシスト〉となったのだった