ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
「ぎゃあァあァあァッッッ!!!」
十歳の少女ファが眼を見開いて絶叫する!
聖水をかけられたファの身体から、まるで酸をかけられたかのような熱気が噴き出てきた
「聖水が効いている、シスターもっと神の祈りを吹き込んでくれ!」
シスター・リンダはフリードキン神父の指示により聖水に祈りを捧げていく
4人が向かったファの自宅は普通の一軒家のように見えたが、何故かこの部屋だけ業務用の冷凍庫のような寒さだった
皆の息が白い
駆けつけたとき、すでに少女の顔色は悪く口から緑色のドロドロしたものを吐き出しながら大笑いしていた
いつもどっしり構えているミラー神父はすっかり怖気づいてしまっていた
代わりにフィンがサポートして、フリードキン神父の唱える神の言葉を復唱していた
復唱することにより、神の言葉は力を大きくしていくのだ
身体を拘束された少女は頭をブンブンと動かし今にも千切れてしまいそうだ
神の言葉を唱える2人
ファに取り憑いた悪魔は動かせない身体の代わりに部屋中の家具を動かして倒していく
その超常現象にミラーは腰を抜かし、タンスの下敷きになってしまった
だがここで神の言葉を途絶えさせるわけにはいかない
リンダがミラーを助けているあいだも、フリードキン神父とフィルは次々と神の言葉を畳み掛けていく
ファに取り憑いた悪魔は超常現象を起こすパワーで精魂尽きて、唸り声はあげているもののグッタリしてしまった
「グゥうゥうゥうッッッ、馬鹿な人間どもよ……、いい気になるな……、しょせんお前たちは我々の糧でしか無いのだ……」
「黙れ、悪魔めッ!もといた場所に還れッ!
この世界にお前たちの居場所など無いッ!」
フリードキン神父は胸元の十字架を手にとって軽く口を付けると、そのまま右手に持っていた小瓶から聖水を撒いた
絶叫する悪魔
フィルは感動していた
“凄い、やっぱり先生は凄い!”
フィルはこの遠い遠い宇宙までやって来た甲斐があった
タンスの下敷きになっていたミラー神父もどうやら無事のようだ
シスター・リンダが彼に寄り添い、ケガをした腕を縛り上げているところだった
悪魔はフィルの視線を見逃さなかった
「フィル……、フィル……、懐かしやフィリップ・バートン」
突然名前を呼ばれフィルは戸惑った