ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
「お前、誰だッ!? なぜボクの名を知っている?」
「フィル、悪魔の言葉に耳を傾けるな
奴らの言葉には何の意味もない!
オウムの口真似のようなものだ!
言葉を返すんじゃないッ!!」
フリードキン神父はフィルを制止し、再び聖書のページをめくり新たな神の言葉を投げかけた
フィルも続けて復唱しようとするが、うまく言葉が続いていかない
雑念が脳裏をかけめぐり、次の言葉が何だったのか、止まりがちになってしまう!
「フィル、集中しろッ!」
「は、はいッ!」
「私のかわいいフィル、いつもお前と一緒だった……、泣いてばかりいる弱虫フィリップ
いつも助けてあげたことを忘れたの?」
フィルは聞く耳を持たず、目の前の聖書の文字だけを追い続けた
「ほら、坊や?横を見てごらんよ?
この女が好きなんじゃなかったの?
わたしをすっかり忘れてさ
でもこの女はアンタに似合うのかしら?」
そう言うと介抱しているシスター・リンダに妙な幻が重なっていく
幻覚か……???
先程までふたりで居たフィルの自室の風景
上半身の包帯を巻き取って、身体を拭いてやるリンダの姿
するとリンダもまとっていた衣服を脱ぎ始めた
薄手の肌着まで手にかけていく
裸になったリンダ
胸のふくらみを両手で隠し、照れたように視線を床に落とす
抱き合うふたり
互いの身体を寄せ合い、肌のぬくもりを感じ合う
神のしもべとなった今、男女が肌を重ねることは禁じられている
よこしまな考えはご法度なのだ
だが健全たる若い二人にそれは酷というものだった
本能が相手をもとめるのだ
抱き締め合うふたりが顔を反らす
そこにいたリンダの相手は自分では無かった
フィルは絶叫する
相手はミラー神父だった
ミラーとリンダは唇を何度も重ね、腕をまわし合う
ふたりの重なる身体
お互いを求め合う光景
フィルは呆然と見ていることしか出来なかった