ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第2章 ファ・ユィリィ
「フィル!集中しろ!」
フリードキン神父の声でハッとした
頭の中が一瞬でクリアになる
「あ、あれ?」
フィルが横に居てるミラーとリンダを探した
2人は血だらけになりながら、簡易的なケガの処置を済ませたばかりだった
幻覚だ!
とてもすんなり幻覚の世界に連れて行かれた!
改めてフィルは悪魔の力を見せつけられた
再び聖書の語句を読み解いていく
悪魔は苦しそうな声で最期の戦いに備えていた
「フィリップ、この女はお前に抱かれたがっているよ? なんで抱いてやらない?
見えない神より、目の前にいる女のほうが大事だと思わないかい?」
リンダはキッ!と悪魔を睨みつけるが、何も言わなかった
悪魔の言葉に耳を傾けてはいけないのだ
フィルはあらためて神の言葉を紡いでいく
悪魔はこの言葉を止めさせようと必死なのだ
「フィリップ、どうしてさっきこの女を抱き締めてやらなかったの?
いつまでも女を待たせるものではないわよ
ボヤボヤしてるとこの女はミラーのもとへ走って行ってしまうかもよ?
さっきも見たでしょ?その光景!
それが現実になってもいいのかしら?」
気を失いそうなミラー神父はフィルを落ち着かせようと懸命に意識を保っていた
「フィル、オレには地球に守ってやりたい女性がいるんだ、もちろん神の子としてだ
キミにはキミの守りたい者が居るように、
オレにはオレの守りたい者が居ることを忘れるな………!!!」
それだけ言うとミラー神父はガックリと意識を失ってしまった
「大丈夫よ、ただ貧血を起こしただけだから!
でも長くこの状態にはさせられないわ!」
シスター・リンダがミラー神父の身体をかばいながらフィルに声をかける
ミラー神父の伝えたいことはわかってる
とにかく集中するんだ!
フィルはそう自分に言い聞かせて聖書を読み続けた
「神の言葉によって命ずる、退けサタン!」
「違いますフリードキン神父!!
退け、ブラッディーーーー!!!」
すると悪魔はギャアッ!と悲鳴をあげて絶叫した
悪魔は少女の身体から離れていった……