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ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第3章 シモンズ・シモーヌ


街へ着くなり「じゃあな」とふたりの男はネオン街の中へ吸い込まれていった


残ったシモンズは廃墟となったビルの地下にある飲み屋に向かった
飲み屋といってもレストラン、酒、ビリヤードなどが楽しめるパブのようなところだ

中は賑わっており、そのほとんどが軍人だった

知った顔ばかりでは仕事なのか休日なのかわからなくなってくる

シモンズは一番奥の静かなテーブルについて、とりあえず酒だけを飲んでいた


ビリヤードをやってるほうは騒がしいが、食事スペースのほうはあまり人が居ない

ふたつほど離れたテーブルにひとりの男が食事をしていた
何を食べているのか気になって、つい凝視してしまう


それは相手に伝わってしまったようだ


暗いパブの中で男の顔はわからなかったが、特に嫌がる様子もなかった

「ここのボルシチは甘くないんですね」

と逆に男のほうから声をかけてきた


「そ、そうなの?私は食べたこと無いから」

「味見してみますか?」

シモンズは興味をもって席を移動した


近くに寄ると男は意外と若かった

“……なんだ、まだ子供じゃない”


テーブルの真上から伸びたランプに照らされた男は少年だった


少年はすっとボルシチの皿を差し出すので、シモンズはスプーンを取って真っ赤なスープと果肉を口に含んだ


「甘い! なにこれ?」

「ボルシチ知らないですか?ヨーロッパでは主流ですけど…、ビートって言う赤い実が甘いはずなんですけど、これは合成なのかな?」


「アンタ、アースノイドなのかい?」


「ええ、ウェールズって知ってます?イギリスの、そこ出身なんです
 ここには来たばかりでね、軍の人以外が食べに来ていいかわからなかったからこっそり食べていたんです
 ボクはフィリップ・バートン
 サイド7から来たばかりなんです
 フィルって呼んでください」


少年はニッコリ笑った


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