ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第3章 シモンズ・シモーヌ
甘いデザートは大好物だがシチューのようなもので甘いのはシモンズには口に合わなかった
皿を突き戻すと再び酒を口にする
「アンタも飲むかい?
わたしはシモーヌ・シモンズ
これでもモビルスーツの小隊長さんだ」
「いえ、ボクはまだ酒が飲める年齢じゃないので、そうですか偉い方だったんですね
ではここには長いのですか?
ちょっと人を探してサイド1まで来まして」
「フィル、人探しならふつうは人の多いとこから探していくもんだよ?
ロンデニオンとかシャングリアとか」
「いえ、このコロニーに居るらしいので
教会で働いているそうなのですが、知りませんか?クレリア・ラーナーという司祭を」
「クレリア? アンタクレリアの知り合いか?」
シモンズはガックリとうなだれて
軍人以外の知り合いが出来そうだと喜んだものの、どうやら友だちの知り合いらしい
セックスの相手にはまだ若すぎるように思えたが、背に腹は代えられない、今夜はこの男と楽しもうか、と思っていたシモンズは脱力していた
「シモーヌさん、知り合いですかッ!」
「あぁ、知ってる知ってる、よく知ってる
あとで会わせてやるよ
でも先に腹を満たさせてからね」
ちょうどウェイターがシモンズの注文したステーキを持ってきたところだった
「アンタも食いな、フィル!野菜のスープばかりじゃ強い男になれないよ」
シモンズはステーキをいくつかにカットして目の前の少年に差し出した
「ああ、良かった!ここの街ちょっと怖かったんですよね、廃墟ばっかりで普通の街じゃないでしょう? 民間人はみんな追い出されたコロニーだと聞きました
どうやって探そうか、見当がつかなかったのです、アナタに会えて良かった!
これも神のお導きです!」
シモンズは“よくべらべらと喋る子供だな”と思いながら目の前の肉に食らいついていた