テキストサイズ

ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー

第1章 悪魔祓い


フィルはふたりの神父の指示に基づき、身を清め、キティから銀の十字架を手渡された


「覚えてる?フィル」


キティが差し出したのはエレンの十字架だ
幼少のとき、日曜日の朝に向かっていたときいつも少女の首からぶら下がっていたものだ


フィルは自分が親から渡されていた古ぼけた十字架より、エレンのキラキラ輝く銀の十字架がうらましかったことを思い出した


身なりを整え、キティから聖書を手渡される
使い込まれた古いものだ
フィルは学生生活が充実していくほど家族と教会に行くことがなくなっていたので聖書を手にするのも久しかった


老神父マックスはフィルに語る

「フィル、いまのエレンはかつてのエレンではありません
 いま彼女の心は何者かに奪われています
 私達はそれを“悪魔”と呼んでいます
 彼奴らは儀式を中断させようと私達を惑わせています
 彼奴らは我々本人にしかわからないことまで知っていて、そこを突いてきます
 決して悪魔の言葉に耳を傾けてはいけません
 それがどれだけキミの心に深く刺さってきても、それに反応してはなりません
 儀式を中断させるために抵抗しているのです

 ジョセフはとても良い神父でした
 皆を愛し、平和を望んでいました
 ですが彼も人間です
 彼は悪魔の言葉に惑わされてしまい、
 後悔の念から自ら飛び降りてしまいました
 わたしもとても残念です
 彼はこの町に暮らす皆を愛し、この町で苦しむエレンを助けることを望んでいました

 フィル、エレンのためにも、ジョセフのためにも誓って下さい
 決して悪魔のささやきに耳を傾けず、
 主の力を信じて下さい」



フィルはコクリと頷いた


中年の神父ジェームスもフィルに声をかける


「キミを巻き込んでしまって本当に申し訳ない
 だがエレンを良く知るキミになら、彼女を救い出すことが出来る筈だ
 我々よりももっと身近なキミによってね」


フィルはジェームスの言葉に勇気づけられ、ありがとうと言葉を返した



「さぁ、ジェームス!フィル!
 もう一度儀式を行います」


マックスは立ち上がった


ストーリーメニュー

TOPTOPへ