ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第3章 シモンズ・シモーヌ
「ボクの名前はフィリップ・バートン、地球のイギリスからやって来ました
サイド7の神父フリードキンからアナタを紹介されたのですが……
アナタ、女性ですよね?
どうして男装なんか……
それも司祭の格好を……」
戸惑いながらフィルは挨拶をしたが、クレリアはちらりと彼を見ただけで、またシモンズを睨みつけていた
「フリードキンね、知ってる知ってる!
自分の手に負えなくなったら、すぐ私に仕事を振るんだ?あれで上司気取りだから嫌になっちゃうよ!
シモーヌ、アンタもね!出禁と言ったハズだよ、もう忘れたのッ!?」
クレリアはなかなか短気な性格のようだ
「おいおい、客の前で昔のことをぶり返すなよ?ちょっと身体に触れただけじゃないかッ?」
「ちょっとじゃないだろうッ!?
あのとき私が寝入っていたなら私を襲っていたのだろうッ!?
神職のわたしを犯そうだなんて、シモーヌいい度胸してるじゃないか?
サタンを斬りつけるためのサーベルだけど、今日は切れ味を試してみようか?」
クレリアは祭壇に飾られていた祭事用の長剣を手にしてシモンズに突き付けた
「待て待て!アンタは本当にやりかねない!
わかったわかった!出ていくよ!
じゃあな、フィル!
用事が終わったら私のところに来いよ?
可愛がってあげるからさ!」
「いいから、行けッ!ケダモノ!」
クレリアは本当に剣を振り降ろして、威嚇では無いことを示してみせた
シモンズは退散してしまった
ふー!ふー!と息をあげて目は血走っていた
本当に斬りつけそうな勢いだった
フィルが何も言えずにクレリアの背後から動けなくなったときに、さっきまでの喧騒が嘘のようにパアッと明るく笑顔で振り返ってきた
「それで!?フリードキン神父は元気かい?
あのクソジジイもたいがい尻を触る悪い神父だった!
この世の中は邪念だらけです、
神よ、お許しください、アーメン!」
演技でもしているかのようにクルクル変わるクレリアの表情に、フィルは
〈うわぁ、この人ぜんぜん信用できない!〉
と思ってしまった
「フィリップ・バートン!
ようこそ25バンチコロニーへ!
捨てられたこのコロニー、ロストコロニーを代表してキミを歓迎するよ!」
クレリアは嘘っぽく笑っていた