ぼくはキミを追い払えない 〜エクソシズム†ロストコロニー
第1章 悪魔祓い
「フィル、我々は悪魔が嫌う言葉、神の言葉を投げ掛ける
そして悪魔は苦しみ、中断させようとしてくる
我々の言葉のあと、キミも言葉を続けて繰り返してくれ給え
言葉を重ねて行くことで神の言葉が強さを増す
悪魔は神の言葉に逆らえられない
苦しんで耐えようとするが、悪魔には通用しない
神の言葉を重ねていき、悪魔の力が衰えたときに、エレンの身体から悪魔を切り離す
もうエレンに近付けないようにするんだ
悪魔を追い出すんだ
これが悪魔を祓う儀式エクソシズムだよ
そしてその儀式を執り行なうのが我々
〈エクソシスト〉なんだ」
ジェームスの説明を聞いたあと、マックス神父もコクリと頷きフィルに聖衣を手渡した
「フィル、ジョセフがキミを守ってくれる」
それは先程悪魔の力に屈してしまった町の神父ジョセフが身にまとっていた儀式用の聖衣であった
3人はゆっくり階段を上がっていく
するとどうだろう
3人の吐く息が突然白くなった
2階に上がった途端急激に温度が下がっていったのだ
家の中なのに、これではまるで真冬の湖の表面が凍るような気温ではないか
息だけでない
周りの空気も凍っていく
空気中のわずかな水分までもが凍りついていくのだ
吹き抜けの階段はキラキラと輝いている
「これが悪魔の力だよ」
ジェームスの言葉にフィルは信じられなかった
先頭を歩く老神父マックスが二階の部屋のドアを開ける
フィルも老神父に続いて恐る恐る部屋に入る
懐かしいエレンの部屋
そして奥のベッドの上に、フィルは久しぶりに姉のように慕っていたエレンの姿を見た
だがそれはフィルの知ってる少女ではなく、
また一階のリビングに飾ってある少し大人びた女性の姿でも無かった、
髪はボサボサで乱れ、
目の周りは黒く落ち窪んでおり、
眼が開いたままこちらを見つめていた
剥き出しの歯茎からときおり白い息を吐いていた
「やぁ、フィル!調子はどうだ?」
少女の声はまるで大人の男のようだった