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リバース!(R-18)

第2章 早すぎる再会

「…暑い」
もう何回目だろうか。ルーシーはその言葉を呟いた。床にごろりと寝そべり、移動は芋虫のようにもぞもぞと動いていた。
結局あの後冷静になり、冷房器具は買わず、賞金は食料に使ったのだ。

暑いわぁ~…。やっぱり冷房器具を買えばよかったかな…。

その時、扉が叩かれた。

「あ~…誰だろ…誰かにお金借りてたっけ…」
借金を踏み倒すことがよくあったため、ルーシーはその取り立てかと思ったが、最近は特に思い当たることはなかった。
誰だろうと考えながら、寝そべったままずりずりと扉へ向かう。その間も扉は叩かれ続けている。そんなに待たせたのかしら、と背筋を駆使して上半身だけ起こし、扉を開ける。

「はいはい、どちら様~…げ。」
顔をあげると、グランが眉をひそめていた。

ナルシストエリート!
なんでまた来てるのよ。

「…だらしないな、ものぐさ女」
グランは汚いものを見るような目で言った。確かにルーシーは暫く風呂に入っておらず、汚れていたのだが。

「何しに来たのよ。こっちは今大変なんだけど」

「俺だって二度と来たくなかったし、できればこれからも関わりたくない。だがそれどころか、ルイーゼ先生のところへ例の話を断りに伺ったら却下された。『あれはあなたに“頼んだ”んじゃないのよ。“指示”したの。あなたに選択権はないわ』…と。つまり、どうあっても俺は、おまえとこの依頼を引き受けなければならないらしい」

「ついに教師たちが動いたか…」
さすがに学校側もこのままルーシーを放っておいてはまずいと思ったようだ。

「とにかく、俺にもあんたにも拒否権はない。…はぁ。まったく、俺も運がないな」

「はあ…」
面倒なことになったなぁ…。確かにこの成績と経験では信用がなく、中々仕事の依頼が来なくて参ってはいたんだけど…。

「いいか、こんなことがなければ俺はここに近づいてすらいない。おまえと関わってるところをあんまり人に見られたくないし、さっさと終わらせるぞ。その前に」
ジロリと、さも不快そうに部屋を見渡す。

「この部屋をまずなんとかしろ。女以前に人間として終わってる」

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