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──拝啓、支配様

第1章 1

「───幽霊よりも、人間の方が怖い」なんて、絵空事ではよく聞く話だろう。

 僕は最初からそれに疑問を持っていた。

 人間なんて身近な存在よりも、得体の知れない化け物や幽霊の方が怖いに決まっている、と。

 どんぐりの背比べ、似たり寄ったり、と思ったこともなく、明確にそちらの方が怖いと、僕は昔から考えていた。

 夜はベッドの中で聞こえる微かな音や、壁の染みから想像される怪物の影に怯えていた。

 親に訴えても、ただの染みだと言われるだけだった。

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