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──拝啓、支配様

第3章 3

 そうだ、紛れもなく彼じゃないか。
 だったらそんな訳ないだろう。こんな自滅しかねないことする訳が…………。

 自滅…………?
 可笑しくないか?

 何がだろうか。僕は何を可笑しいと、思ったのだろうか。

 ……………この状況だ。

 自滅というには、余りに証拠が揃っていないこの状況。

 今この段階で、彼女が犯人を示唆した理由…………。

 ​────まさか。

 思わず口から出た言葉。

 そんな事は有り得ないだろう。僕の発想は余りに突飛すぎる……。

 だがしかし、そう考えれば辻褄が合ってしまう。

 ダラダラと脂汗が顔を伝ってボタボタ零れ落ちる中、もうひとつ、僕の中である疑問が浮かんだ。

 しかし、其れはあくまで確認の様な物だった。

 いや、僕は安心したかったのだ。

 彼が犯人でない証拠をひとつでも見つければ、僕の杞憂で事は終わる。

 疑問を確かめるように、僕の指は動く。文字を打ち込み、タップして、思考と心臓の速さに合わせて指先が動く。

 そうして答え合わせをしたその先で……。

 ​────僕は絶望していた。

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