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──拝啓、支配様

第3章 3

ㅤこれが、これが彼の本性か。今までの姿はも仕草も口調も全て偽り。

本来は狡猾で獰猛な獣だ。

怖い……怖くて仕方ない。

なのに、僕はそれで良いと思った。醜く歪んだ其の本性でさえ、とても綺麗だと、そう思った。

「そう思い通りに行くでしょうか。今だって思い通りに行ってないのに」

「………貴様………」

ㅤ僕の声は震えている。其れでも、僕は強がることを辞めない。

「あんまり僕の事舐めないで下さい。大寺先生。

全部分かっててこうしてるんですから、悲劇の先を見せてください。

どんな終末が待っているか、貴方の手で見せてください。大寺先生」

「………」

「全て委ねます。だから遠慮無く壊してください」

「​─────分かった」

ㅤ漸く、やっと、彼の口から聞きたかった言葉を聞けた。本当にやっと、と、言ったところ。ほっとした。でも、本番は之れからだろう。

「今日、放課後、メンバーには簡単に説明をしておく。

其の後俺に着いて来い。

逃げたら殺す。お前の望んだ下らない遊びも其れでお仕舞いだ。

分かっているだろうな」

「…………はい」

「なら良い。精々楽しもうじゃないか、お互いに。

 この下らないひと時を……。

 では、また会おう」

ㅤ其れだけ告げて、彼は僕をひとり文芸部の部室に置いて、去っていった。

ㅤ扉は空いていた。其れでも僕はそこから直ぐに出ることはせずに、膝を折り、崩れ落ちた。

ㅤやっと終わった。

ㅤ額からとんでもない量の汗が零れる。安心感と脱力が身体を包んでその場から動けなくなる。

ㅤ浅い呼吸を繰り返し、僕は
ㅤ勝った。と、思い笑っていた。

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