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灰色ノ世界

第1章 灰色ノ世界

「……でさあ、2組のなんだっけ? 山下たつ……あ〜ダメだ、名前が出てこねえ!」


 今、僕の目の前に座っている一ノ瀬 多々良(いちのせ たたら)は僕のクラスメイトだ。


 金髪頭で声も態度も大きいから何かと目立つ。しかもイケメンだから女子に人気がある。地味に真面目に生きている僕とは正反対なタイプだ。だから関わりたくないのに、なぜかこいつはいつも僕に絡んでくる。


「ちょ、聞いてる? 尊(みこと)」


 下の名前で呼ばれて、僕はノートに文字を書く手を止めた。その名前ではあまり呼ばれたくない。女子みたいな名前、好きじゃない。尊と書くなら「たける」が良かった。




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