テキストサイズ

灰色ノ世界

第1章 灰色ノ世界

「きれいだよな」

「!」


 花火に感動していると、いつの間にか隣に多々良が立っていた。同じように空を見上げて、瞳を輝かせている。
 

「……うん、きれいだ」


 花火が……多々良の瞳に写る花火がきれいで、僕はしばらく釘付けになった。
 すると多々良がフッとこっちに振り向いたから、目が合ってしまった。


「なあ、射的やらねえ?」

「あ、うん」


 多々良ははしゃぎながら自然と僕の手を引いた。その姿はまるで子供みたいで、既視感を覚えた。


 あれ?
 僕は昔、多々良と夏祭りに来たことがある……?


 少し考えたけど、何も思い出せない。
 何か大切なことを忘れているような気がする。



エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ