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【お題小説】さいごのねがい(4ページ完結)

第1章 「色の無い世界」

こんな不自由な身体になってしまったボクだけど


それでもわざわざ会いに来てくれる人がいるのはありがたいことです


今日会いに来てくれた女性は動けないボクにお見舞いの花束を持ってきてくれた


たくさんの花、たくさんの種類


きっと鮮やかな色彩なのだろうな



でもゾンビとなったボクには

すべてがグレーのみの単色にしか見えないんだ


彼女がボクの元に訪れてくれた理由

それはボクは以前それなりに名のしれた役者をやっていたからなんだ


若い時はさわやかなルックスを売り込んで青春映画によく出ていたもんさ


毎年のようにボクの映画が公開されていたんだよ


クリスマスシーズンやサマータイムの時期は宣伝活動で出ずっぱりだったね


そのときのファンは今でもこうしてボクに会いに来てくれるわけだ


何年も経っていても、彼女たちはボクの事を忘れずに今でも推してくれているのは本当に嬉しい


彼女たちの応援もあってボクは若手俳優のなかでも数々のいい作品に出会えたんだった


逆に若い時についたイメージのせいで、数年後めっきり仕事が減ってしまった


とにかく青春映画のイメージが付きすぎてしまって、他からオファーがこなくなってしまったんだ


いくつかのケーブルテレビの端役をもらいながらも歯をくいしばってがんばってたっけ


ボクにはとてもツラい時期だった


そんなとき、飛び込んできたのはなんとスーパーヒーロー映画の悪役だった

悩んだね

へんに顔立ちが整っていたせいで、ボクは歳を重ねても善良な役しかやったことがなかったから


でも食うためにはやるしかなかった

もうその時は結婚もして、子供も居たからね


それがまさかの大ヒット!

主役の若手俳優とともに、久しぶりにボクにもクローズアップされたんだ


数年ぶりのレッドカーペット


ボクは最前線に返り咲いたんだ!


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