お題小説 カレイドスコープ
第1章 kaleidoscope
5
「あ、そうだ、栄ちゃん達と待ち合わせてるから、出掛けてくるから」
どうせこの後、暫く音信不通に近かった息子の俺への愚痴話しへと続くのは分かっていたから、とりあえずこの場から逃げる意味もあったし…
それに形見として貰ったこの懐かしい『万華鏡』を見て少し心が騒ついたせいもありさっさと家を出る。
そして同級生が経営していて、プチ同窓会が行われているという近所の居酒屋へと向かった…
「いらっしゃい、あっ、おおっ、は、勇人じゃんかぁっ」
その居酒屋に入ると、幼馴染である大将がやや驚きの声を上げてきた。
「あ、うん、久しぶりだな」
俺は少し照れながらそう返す。
すると…
「ああっ、冴木くんじゃないっ」
「おおっ、はやとぉ、久しぶりじゃんかぁ」
「うわぁ本当だ、冴木くんだわぁ」
と、先に着ていて、既に酒宴を始めている懐かしい同級生の面々が、次々とそんな感嘆の声を掛けてくる。
「さっきさぁ駅前の通りでさぁ、俺が見つけて誘ったんだよ」
そう、さっき俺を拾ってくれた栄ちゃんが得意気に話してきた。
「うわぁ勇人久しぶりだなぁ、成人式の同窓会以来だよなぁ」
元、クラス委員長がそう言ってくる。
「あ、うん、そうだな」
そう俺は、あの仕事のトラブルがあったせいで30歳の時の同窓会には欠席していた。
「いやぁ、こうしてさぁ『夏祭り』に帰省している面々に声掛けてさぁ集まってんだよぉ」
「うん、さっき栄ちゃんに訊いた」
「あ、そうか、勇人ん家のばあちゃん亡くなったって…」
すると、やはり狭い町であるから、ばあちゃんの訃報は皆が知っているようであるのだが…
亡くなったのが親ではなくばあちゃん、祖母であるから、それほどにはこの場は暗くはならない。
「さぁ、冴木くぅん、こっちに座ってぇ」
当時、クラスでも人気のあった斎藤弘美が呼んできた。
どうやら近所の懐かしい面々の同級生の男6人、女3人の計9人が集まっているようであった…
あ、いや、この居酒屋の大将を入れての10人である。
すると、そんなチラと面々の様子を見回した俺の視線を斎藤弘美がすかさず感じとったのか…
「あっ、まゆ、茉優ももう少ししたら来るわよ」
と、言ってきたのだ。
「あ、えっ?」
そして俺はそんな彼女の言葉に、思わず反応してしまう。
まゆ…
村上茉優…
「あ、そうだ、栄ちゃん達と待ち合わせてるから、出掛けてくるから」
どうせこの後、暫く音信不通に近かった息子の俺への愚痴話しへと続くのは分かっていたから、とりあえずこの場から逃げる意味もあったし…
それに形見として貰ったこの懐かしい『万華鏡』を見て少し心が騒ついたせいもありさっさと家を出る。
そして同級生が経営していて、プチ同窓会が行われているという近所の居酒屋へと向かった…
「いらっしゃい、あっ、おおっ、は、勇人じゃんかぁっ」
その居酒屋に入ると、幼馴染である大将がやや驚きの声を上げてきた。
「あ、うん、久しぶりだな」
俺は少し照れながらそう返す。
すると…
「ああっ、冴木くんじゃないっ」
「おおっ、はやとぉ、久しぶりじゃんかぁ」
「うわぁ本当だ、冴木くんだわぁ」
と、先に着ていて、既に酒宴を始めている懐かしい同級生の面々が、次々とそんな感嘆の声を掛けてくる。
「さっきさぁ駅前の通りでさぁ、俺が見つけて誘ったんだよ」
そう、さっき俺を拾ってくれた栄ちゃんが得意気に話してきた。
「うわぁ勇人久しぶりだなぁ、成人式の同窓会以来だよなぁ」
元、クラス委員長がそう言ってくる。
「あ、うん、そうだな」
そう俺は、あの仕事のトラブルがあったせいで30歳の時の同窓会には欠席していた。
「いやぁ、こうしてさぁ『夏祭り』に帰省している面々に声掛けてさぁ集まってんだよぉ」
「うん、さっき栄ちゃんに訊いた」
「あ、そうか、勇人ん家のばあちゃん亡くなったって…」
すると、やはり狭い町であるから、ばあちゃんの訃報は皆が知っているようであるのだが…
亡くなったのが親ではなくばあちゃん、祖母であるから、それほどにはこの場は暗くはならない。
「さぁ、冴木くぅん、こっちに座ってぇ」
当時、クラスでも人気のあった斎藤弘美が呼んできた。
どうやら近所の懐かしい面々の同級生の男6人、女3人の計9人が集まっているようであった…
あ、いや、この居酒屋の大将を入れての10人である。
すると、そんなチラと面々の様子を見回した俺の視線を斎藤弘美がすかさず感じとったのか…
「あっ、まゆ、茉優ももう少ししたら来るわよ」
と、言ってきたのだ。
「あ、えっ?」
そして俺はそんな彼女の言葉に、思わず反応してしまう。
まゆ…
村上茉優…