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俊光と菜子の、ホントはどうでもいい番外編

第4章 その3 

 *

 クリスマス当日。学校の帰り。

 柔らかなオレンジ色の空を見上げながら、住宅街を歩く。

「お。この歌は……」

 どこかの家から、クリスマスソングが聴こえてくる。可愛い歌声。子供が親の前で歌ったりしてるんだろな。

 菜子も昔、この歌を歌ってくれたっけ。懐かしいな。

 今もなお聴こえてくる歌声に、幼い頃の菜子と重ねて、思い出を引き出した。


 *。・+十数年前+・。*

「おとうさん、おかあさん、おにいちゃん。きょうはクリスマスだから、おうたをプレゼントしてあげるー」

「まぁ、お母さん嬉しいわー」

「お父さんも楽しみだ」

「菜子、お前ちゃんと歌えるのか?」

「えっへん! おにいちゃん、まかせてよ! ようちえんでならったんだから。
 じゃあいくよー。さんはいっ――」

♪クリスマスの日に やってくるよ
 スヤスヤ眠る夜の町に コソッとくるよ
 ステキな贈り物を 袋に詰めて
 赤鼻が可愛いトナカイさんのソリに乗り
 粉雪みたいな ふわふわおひげを揺らし
 ニコニコ笑顔 振りまいてくる
 トゥインクル トゥインクル 星空の中
 リンリン シャンシャン 鈴の音鳴らし
 ビュンビュン ビュンビュン ソリを飛ばすよ
 サンタ サンタ サンタクロース
 みんなに会いに やってきた
 サンタ サンタ サンタクロース
 みんなが大好き おじいさん

 *。・+・。*。・+・。*


 菜子の無邪気な歌いっぷりに、父さんと母さんは手を叩いて喜んで、俺は頭を撫でて褒めたっけ。

 ちっちゃくて、照れたようにニコニコ笑って。可愛かったな……

「ん?」

 俺より先を歩いている、あの女のコ。もしかして……。

 徐々に近づくと、

「♪クリスマスの日にやってくるよ スヤスヤ眠る夜の町にコソッとくるよ……」

 あの頃と同じ、無邪気な歌声が聴こえてくる。

 やっぱり菜子だ。

 コイツ。今日という日に浮かれてるのか。一人で歌ってたりして。たぶん、誰もいないと思って油断してるな?

 わっと驚かしたいとこだけど……菜子から歌のプレゼント、久々に受け取りたいから、最後まで聴いていよう。

 あの頃と同じ無邪気な歌声。けど、あの頃よりもだいぶ成長した無邪気な後ろ姿。嬉しく見つめつつ、耳を預けて聴き入った。

 ―おわり―

 ハッピークリスマス♪

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