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Kalraの怪談

第3章 三夜目:ホシガリサマ

【ホシガリサマ】

これは、『私』がある女の子から聞いた話。

☆☆☆
「ねえ、ホシガリサマって知っている?」

A子は私に聞いてきた。

それは、中学校3年生の冬、図書室で一緒に勉強をしていた時のことだった。

公立の中学校に通っていた私たちは、高校受験のための勉強が追い込みに入り、ピリピリとしていた。
私とA子は中学校1年生からの友達た。どちらかというと積極的なA子に誘われるがまま、私が引っ張られるような形でいろいろなところに遊びに行ったりしていた。性格が真反対ながらも、結構楽しく過ごしていた。

そんなわけで、受験勉強も一緒にやることが多く、その場合、学校の図書室を利用するのが通例だった。

その日は、珍しく私達以外の利用者がいなかったし、受験勉強で互いに疲れていたのもあって、他愛もないおしゃべりを挟みつつだらだらと勉強していた。

「ホシガリサマ?」

私は知らない、と頭を振った。

「おまじないの一種なんだけどさ
 S神社、知っているでしょう?あそこの奥におキツネ様がいるの知っている?
 お稲荷さんていうの?そこにある特殊なお参りの仕方をするとどんな願いでも叶うんだって」

「へえ・・・」

「で、そのお参りの方法なんだけど・・・」

S神社は、この辺じゃちょっと有名な神社だった。
A子は私に詳しく、その『特殊なお参りの仕方』とやらを教えてくれた。

「変なの・・・それで願いが叶うの?」
「そう、願いは叶う。でもね、ひとつだけ困ったことがあるの。
 実は、このおまじないをした男の子がいてね、その子は最新のゲーム機が欲しくて、それをお願いしたの。そしたら、次の日の夜、お父さんが『社内ビンゴの景品で当たった』と言って、そのゲーム機を持ってきたので、大喜びよ。でもね、その日から三日後くらい。あまりにゲームをやりすぎていたので、その子はお父さんに怒られちゃって。それで、言い争いになって『もうお父さんなんて大嫌い』みたいなことを言ったの。
で、その日の夜、その子が眠ると、夢の中に和服を着た小さな女の子が出てきて、その子は小さな手を出してこう言ったの

 『イラナイのだったら、アナタノタイセツナモノチョウダイ』

 『オトウサン チョウダイ』って

 その子は腹を立てていたので、『いいよ』って言ったの」

あ、なんかオチがわかった気がする。

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