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Kalraの怪談

第3章 三夜目:ホシガリサマ

A子は続けた。

「その夢を見た次の日、その子のお父さんは交通事故で死んでしまったの」

「ホシガリサマの困ったところはここなのよ。お願いした後、何かをいらないと思うと強引にそれを取っていってしまうの。ホシガルの」

「それって、怪談とか都市伝説みたいなものなんでしょう?」

A子は受験勉強で疲れたから気分転換にこんな事を言ったのだろうと私は思った。

「ふふ、面白かったでしょう?」

「でも、それなら、大事じゃないものをあげればいいんじゃない?」

私は言った。

「そう考えた女の子もいたのよ。その子は好きな男の子に振り向いてほしくて、ホシガリサマにお願いしたの。そうして、わざと特に大事じゃない物を、そうね・・・目覚まし時計を『いらない』って言ってから眠ったの。そうしたら、ホシガリサマが出てきた。

『ネエ イラナイならソレチョウダイ』って。

その子は『いいよ』って言った。

でも、ホシガリサマはちょっと怒ったように言ったの。

『コレ、ダイジナモノじゃない。ワタシもイラナイ。ワタシ、ベツのがいい』

そして、その『何か』は、よく聞き取れなかったのだけど、『何か』をチョウダイって言って手を出してきた。

その瞬間、女の子は汗びっしょりで起きたの。男の子の話を知っていたその子は慌てて家族の異常を確認したわ。でも、みんな生きていた。

ただね、」

A子の話には熱がこもっていた。私も思わず、ゴクリと息を呑む。

「ただ、飼っていた犬が、食中毒で死んでいたの」

「そんな・・・」

「つまり、大事じゃないものをあげようとすると、何か別の大事なものをホシガルの。多分、命をね。」

「こわ!」

私は怖がってみせた。
受験勉強の合間の余興としては丁度よかった。

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