
Kalraの怪談
第30章 三十夜目◯:猿の家
☆☆☆
しかし、引越しをして数日後、すでに問題が起き始めた。
子供が異常に怖がるのである。
「怖い、怖い」
「何かいる!何かいる!」
とひっきりなしに怯えた。
特に怖がったのは、子供部屋に、とあてがった部屋だった。一人では頑として入ろうとしなかったし、親が一緒でも、その部屋にいるうちは、足にしがみついて離れない。無理に離そうとすれば泣き喚く始末であった。
「おさる、おさる!」
「あっちの部屋に」
と壁を指す。壁の向こうはリビングだったがもちろん、猿なんていない。
引越し後の一時的な気持ちの乱れだろう、すぐ治るだろうとは思っていたが、怖がり様があまりに異様なので、こちらまで怖くなってきてしまった。
おかげで、新居用にと買い揃えた子供用の学習机などは、急遽、夫婦の寝室にと考えていた部屋に入れ、妻と子供がそこで寝起きをし、私が子供用に用意していた当該の部屋で寝ることとなった。
しかし、引越しをして数日後、すでに問題が起き始めた。
子供が異常に怖がるのである。
「怖い、怖い」
「何かいる!何かいる!」
とひっきりなしに怯えた。
特に怖がったのは、子供部屋に、とあてがった部屋だった。一人では頑として入ろうとしなかったし、親が一緒でも、その部屋にいるうちは、足にしがみついて離れない。無理に離そうとすれば泣き喚く始末であった。
「おさる、おさる!」
「あっちの部屋に」
と壁を指す。壁の向こうはリビングだったがもちろん、猿なんていない。
引越し後の一時的な気持ちの乱れだろう、すぐ治るだろうとは思っていたが、怖がり様があまりに異様なので、こちらまで怖くなってきてしまった。
おかげで、新居用にと買い揃えた子供用の学習机などは、急遽、夫婦の寝室にと考えていた部屋に入れ、妻と子供がそこで寝起きをし、私が子供用に用意していた当該の部屋で寝ることとなった。
