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Kalraの怪談

第30章 三十夜目◯:猿の家

「なんて夢だ・・・」

私は頭を振った。体がガチガチに固まっている。まだ、あの顔が脳裏にこびりついていた。あの、焼け爛れたような赤い顔。

赤い?・・・顔?

ここで私ははたと気がついた。
子供が言っていた。
『何かいる』
『あっちの部屋に』
『おさる、おさる!』
まさか・・・
あっちの部屋とは、あの、廊下のことではないか?

そして、『おさる』とは、あの、真っ赤な顔をしたアレを、子供なりに表現したものではないのか?子供にとって、赤い顔のものは『猿』・・・

私の夢だとばかり思っていたものをもし、子供も見ているとすれば、この家には、本当に何かいるのかもしれない。

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