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Kalraの怪談

第31章 三十一夜目:自殺の名所

☆☆☆
数日後、この時のことも忘れかけていたある日、夜11時にもなろうかという時にAから電話があった。

「どうした?こんな夜中に?」
「B子が急に家を出て行ったんだ!」
「?どういうことだ?」

Aによれば、その日、Aの家に来ていたB子だったが、ついさっき、一緒にテレビを見ている時に、急に「行かなきゃ」と言いだし、止めるAに構わず出て行ってしまったとのことだった。その時の様子がおかしくて、どうしていいかわからずに俺に電話してきたということだった。

「お前何かB子を怒らせたんじゃねえの?」
「いや、そんなことない。本当に突然だったんだ。突然、行かなきゃ、って言い出して、目が虚で、そのまま裸足で出て行ったんだよ」
確かにおかしい。はっきり言って、俺に電話している場合じゃないだろう?

「とにかく追いかけろ!」

俺は電話口で叫び、携帯電話と財布を引っ掴んで車でAの家に向かった。Aの家に着くとすぐにAは見つかった。B子を探してか、オロオロと家の前で右往左往していたのだ。

「どうしたんだ?」と俺が声をかけると、Aは
「B子はもしかしたらL岬に行ったのかもしれない」と言う。
俺はびっくりして尋ね返した。
「どうしてB子がこんな時間に一人でL岬に行くんだよ。しかもどうやって!?」
「B子はあの時、L岬で見たんだって言うんだ。」
「何を?」
「あの突端で、俺とお前が話していた時あるだろう?あの時、B子が突端に目をやると白いぼんやりとした影みたいなのが見えたんだって言うんだ。そして、その影が突然ふらりと揺れて下に落ちたんだって。まるで自殺者のように。」

それで、あの時、B子は悲鳴を上げたのか?

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