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Kalraの怪談

第35章 三十五話🌕️:部屋の中の溺死体

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<第一の証拠:N県O村のキャンプ場バンガローのノート>
その年の2月、T.Tの発案で、旅行が企画された。N県O村にあるバンガローに泊まるというものだった。その企画に参加したのが、S.I、T.Y、R.Sの三人だった。
4人の死因がなかなかつかめず、他に手がかりもなかったことから、Aさんは自らもそのバンガローに捜査に赴いた。

「まあ、そこは普通のキャンプ地のバンガローといった風だった。簡単な自炊施設とトイレ、風呂はなかったが、近くのキャンプ場の施設でシャワーが浴びられるようだった。2月頃は、オフシーズンと言ってもいいような時期で、利用者は少なかったようだ。どちらかというと、夏の利用者のほうが多い。」

Aさんたちが捜査に赴いたときには、当然、2月にS.Iらが利用した後に何組もそのバンガローを利用していたので、何らかの痕跡は期待できるものではなかった。

「バンガローの中に、ノートがあったんだ。利用者がメッセージを書くというやつだった。それをめくると、彼らが利用した2月10日にメッセージが書かれていた。」

そこには、
”この上の神社に肝試しに行きまーす”
と書かれていた。署名はT.T。どうやら、ツアーの目的はバンガローではなく神社であったようだ。

「地元の人によると、その神社は随分前に宮司も絶え、今は誰も管理していないのだという。地元民ですら、どんな神様を祀っていたのか知らないところだったようだ。いつの頃か、”女の幽霊が出る”だの、”落ち武者の亡霊がうろつく”だの言われ、ちょっとした心霊スポットとして雑誌なんかにも載るようになってしまったらしい。」

その神社は県道から更に細い道に入ったところにあり、たとえ車を使ったとしても結構な時間山道を登る必要がある。なので、仮に夜に行こうとすれば近隣で一泊する必要があるところだった。そして、その神社に一番近いのが、このキャンプ場だったというわけだ。

「おそらく、2月10日の夜半、S.Iたちは、その神社に車で行ったんだ。俺たち?ああ、もちろん、行ったさ。ただし昼間にな」

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